出題のポイント

【第一問】−25点−

問1(10点)

 本問は、特殊仕訳帳を用いた記帳において精算勘定を用いた仕訳をどのようにしたらよいか、基本的な理解を問うものである。
 特殊仕訳帳として当座預金出納帳、仕入帳、売上帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳を設け、売上および仕入については、当座売上、当座仕入、手形売上、手形仕入の精算勘定を用いる場合を設定しているが、二重仕訳の消去処理をせずに仕訳を起こし、最終的に決算整理前の残高試算表が導出できるかを問うものとなっている。なお、(1)は精算勘定を知っていれば比較的簡単に仕訳を行うことができるが、精算勘定を知らなくても、「手形仕入」と「手形売上」の例がヒントとして示しているので、簿記に精通している者であれば、その場で理解し十分に解答できる内容となっている。また(2)については、通常の方法で仕訳を行い二重仕訳の消去処理を適切に行えれば、精算勘定を知らなくても(用いなくても)、残高試算表を導くことができ、正答を導出できるようになっている。

問2(15点)

 本問は、ソフトウェアの取得原価、とりわけ自社で開発した場合のソフトウェアの取得原価の会計処理について、基本的な理解を問うものである。
 (1)は、旧ソフトウェアの取得原価、耐用年数、残存価額、償却方法などのデータから、未償却残高がいくらになるかを問うものである。(2)および(3)について、最初の仕訳は開発途中にあるソフトウェアについて、ソフトウェア仮勘定を使って処理する仕訳を問うものである。2番目の仕訳は、開発中の仕様変更により破棄されたプログラムについての処理を問うものである。3番目の仕訳は、新ソフトウェアが完成した場合の期末の振替処理について、とりわけ旧ソフトウェアの残存簿価を新ソフトウェアの取得原価に含めるという指示通りに、適切に処理できるかを問うものである。4番目の仕訳は、ソフトウェア償却額の算定と、直接法による処理が適切にできるかどうかを問うものとなっている。

【第二問】−25点−

 本問は、外貨建取引の換算、外貨建金銭債権債務の期末換算及び為替予約の会計処理についての理解を問うことを目的としている。外貨建取引の換算及び外貨建金銭債権債務の期末換算については、当該換算に適用される為替レートの理解を問うものとなっている。為替予約については、為替予約をデリバティブ取引として会計処理する方法、いわゆる独立処理の理解を問うものとなっている。為替予約により外貨建金銭債務をヘッジする場合の会計処理と、為替予約により予定取引をヘッジする場合の会計処理の違いを理解していることが重要である。また、外貨預金については、勘定記録を通じて、その増減を把握できているかを問うものとなっている。

【第三問】−50点−

 本問は、決算整理前残高試算表から、問題文に示した決算整理事項等に基づき決算整理後残高試算表を作成する総合問題である。問題文に示された取引事実等を迅速かつ的確に理解したうえで、商的工業簿記に関する製造原価の集計等のあるべき会計処理を迅速に導き出す応用力の判定をすることを目的としている。
 個別的には、現金・預金の残高調整、外貨建取引、商的工業簿記、減価償却費、貸倒引当金及び賞与引当金等といった実務における頻出重要項目のほか、未着品販売、圧縮記帳、税効果会計、退職給付引当金及びインセンティブ報酬等に係る企業会計基準等の内容の基礎的な理解度及び簿記論の基礎的な仕訳並びに計算技術の達成度を問うものとなっている。