問1
相続税法における相続税及び贈与税の納税義務者は、その者が相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した時において、法施行地(日本国内)に住所を有するかどうか等により区分され、その区分に従い納税義務の範囲が定められている。
本問は、相続税法上、納税義務の範囲及び納税地に関して重要な意味を持つ住所の意義について説明を求めるとともに、相続税法第1条の4(贈与税の納税義務者)及び第2条の2(贈与税の課税財産の範囲)の規定の理解を問う問題である。
解答においては、相続税法第1条の4第1項各号のいずれの納税義務者に該当するかは、贈与によって財産を取得した時ごとに定まること及び一暦年中に無制限納税義務者と制限納税義務者の双方に該当する者の課税価格の規定(相法21の2)を理解しているかがポイントとなる。
問2
相続税及び贈与税の納税義務者は、相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した個人を原則とするが、形式的には個人が法人に対して贈与等を行っていた場合でも、その贈与等をした個人又はその親族等が贈与等を受けた法人から特別の利益を受けているようなときは、実質的には、贈与等をした個人が贈与等に係る財産を有し、又は特別の利益を受ける者に贈与等をしたことと同じとなる。
本問は、このような持分の定めのない法人に対する贈与等を通じた租税回避を防止する措置として規定された相続税法第65条(特別の法人から受ける利益に対する課税)及び第66条第4項(人格のない社団又は財団等に対する課税)の規定の理解を問う問題である。
解答においては、規定の趣旨、課税対象者、課税財産及び両規定の適用関係を理解しているかがポイントとなる。
相続税法(関係のある租税特別措置法を含む。)全般に関する理解度を測るため、相続人、法定相続人の判定に始まり、個別の財産評価、課税価格、相続税の総額、各相続人等の納付すべき税額に至るまでを、計算過程を示して解答する総合問題であり、主なポイントは次のとおりである。