出題のポイント

〔第一問〕

問1

 不動産等の公売において、徴収職員は、見積価額以上の入札者等のうち最高の価額による入札者等を最高価申込者として定めなければならない(徴法104)。
 また、徴収職員は、最高価申込者の決定をした後、次順位の入札者から買受けの申込みがされた場合には、その者を次順位買受申込者として決定しなければならない(徴法104条の21)。この場合、次順位による買受けの申込みをした者が複数あるときは、次順位買受申込者は、くじで定めることとしている(同条3)。
 本問は、公売における次順位買受申込者を決定する趣旨についての正確な理解がポイントとなる。

問2

  1. (1) 質権、抵当権等の第三者の権利の目的となっている財産が差し押さえられた場合には、その第三者は、税務署長に対し、滞納者が他に換価の容易な財産で他の第三者の権利の目的となっていないものを有し、かつ、その財産によりその滞納者の国税の全額を徴収することができることを理由として、その差押換えを請求することができる(徴法501)。
     また、被相続人の国税について相続人の固有財産が差し押さえられた場合には、その相続人は、税務署長に対し、他に換価が容易な相続財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその国税の全額を徴収することができることを理由として、その差押換えを請求することができる(徴法512)。
     本問は、これら第三者の権利の目的となっている財産の差押替え及び相続人の固有財産の差押換えについての正確な理解がポイントとなる。
  2. (2) 強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があったときは、税務署長に対し、1その交付要求により自己の債権の全部又は一部の弁済を受けることができないこと及び2滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができることを理由として、その交付要求の解除すべきことを請求することができる(徴法851)。
     本問は、この交付要求の解除の請求についての正確な理解がポイントとなる。

〔第二問〕

 第二問は、換価の猶予(徴法151の2)を受けるに当たって、その要件及び申請手続、また、受けた後に適用される一連の制度(猶予の取消しの可否、納付計画の変更、猶予期間の延長)及び、新たに発生した国税に係る猶予の措置についての理解度を問うものである。

問1

 税務署長は、職権による換価の猶予によるほか、滞納者がその国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その国税の納期限から6か月以内にされたその者の申請に基づき、一年以内の期間を限り、その納付すべき国税につき換価の猶予をすることができる(徴法151の21)。
 また、換価の猶予の申請をしようとする者は、国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持が困難となる事情の詳細や納付すべき国税の年度、税目、納期限及び金額などの事項を記載した申請書に、財産目録その他の資産及び負債の状況を明らかにする書類、担保の提供に関する書類などを添付し、これを税務署長に提出しなければならない(同法3、徴令5312)。
 本問は、設例における事実関係から、納税者の申請に基づく換価の猶予に関して、その要件及び手続について、正しく理解できているかがポイントとなる。

問2

 換価の猶予を受けた滞納者は、猶予期間内の各月において、その財産の状況等からみて合理的かつ妥当な金額により、分割して納付しなければならない(徴法1521)。
 分割納付が不履行となった場合や新たに猶予に係る国税以外の国税を滞納した場合であっても、その不履行となったことや新たな国税を滞納したことにつきやむを得ない理由があると認められるときは、換価の猶予を取り消すことなく(徴法1524、通法491二、四)、引き続き猶予を継続することができる。
 この場合において、やむを得ない理由があり、今後、分割納付の計画どおりに納付することができないと認められるときは、その納付計画を変更することができる(徴法1524、通法469)。
 この納付計画の変更は、当初の猶予期間を超えて行うことはできないものの、やむを得ない理由により、当初の猶予期間内に完納できないと認められるときは、納税者の申請に基づき、猶予期間を延長することができる(徴法1524、通法467)。
 なお、納税者からの延長申請がない場合であっても、税務署長は、納税者が法令の要件に該当すると認められる場合には、職権により換価の猶予をすることができる(徴法151)。
 また、申請に係る国税以外の国税について滞納がある場合には、換価の猶予は適用できないこととされているが、その国税について換価の猶予の適用を受けている場合には、適用を受けることができる(徴法151の22)。
 本問は、設例における事実関係から、換価の猶予を継続するに当たっての措置について、正しく理解できているかがポイントとなる。