問1
相続税の申告書の提出期限までに共同相続人及び包括受遺者の間で遺産分割が調わない場合には、その分割がされていない財産については、各共同相続人及び包括受遺者は、民法(第904条の2(寄与分)を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従ってその財産を取得したものとして、相続税の課税価格を計算することとされており、その後、分割が調った時点で、更正の請求又は修正申告等の手続により、相続税の課税価格及び相続税額の是正を図ることとされている。
本問は、相続税の申告書の提出期限までに共同相続人の間で遺産分割が調わない場合において、相続税の申告に当たって注意しなければならない小規模宅地等の特例に関する手続を問うとともに、相続税の申告書の提出期限までに分割されていなかった財産が、その後、分割された場合における相続人等が行う申告等の特則規定の手続について説明を求めるものである。
また、民法における特別寄与料の制度創設にともない、令和元年度税制改正により設けられた特別寄与者及び特別寄与料を支払った者の課税関係に係る相続税法の規定を理解しているか、特別寄与者が相続人ではないことから、相続税の基礎控除額、相続税の総額、税額の計算において、相続人と異なる取扱いがあることを正しく理解しているかがポイントとなる。
問2
相続税法は、法律的には贈与により取得したものではない財産であっても、実質的には贈与により取得した場合と同様の経済的効果を持つ財産については、課税の公平を図る観点から贈与により取得したものとみなして贈与税の課税対象としている。
本問は、相続税法の実務において非常に重要な低額譲受及び債務免除が行われた場合に適用される相続税法の規定及びその趣旨について正しく理解されているかを問うものである。
本問は、相続税法(関係のある租税特別措置法を含む。)全般に関する理解度を測るため、相続人、法定相続人の判定に始まり、個別の財産評価、課税価格、相続税の総額、各相続人等の納付すべき税額に至るまでを、計算過程を示して解答する総合問題であり、主なポイントは次のとおりである。