出題のポイント

〔第一問〕

 本問は、法人税法における基本的な事項の中から、事業年度の取扱い及び交際費等の損金不算入制度を取り上げて、それぞれの項目について、正しく理解されているかを問うものである。

問1

 論点は、法人税法第13条及び第14条の規定の正しい理解である。事業年度とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるものに定めるもの等をいう。
 法人税の計算期間の単位となる事業年度の取扱いについて、法人の定款等で定められた期間にかかわらず、法人が事業年度の中途において解散した場合や清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定した場合など特定の事由が生じた場合には、法人税法の規定により、事業年度が区切られることを正しく理解できているかがポイントとなる。

問2

 論点は、租税特別措置法第61条の4の規定の正しい理解である。交際費等の損金不算入制度について、1人当たり5,000円以下の飲食費で所定の要件を満たすもの等は交際費等の範囲から除かれているほか、接待飲食費の額の50%は損金算入することができることとされている。
 その他にも、中小法人等とそれ以外の法人とで損金算入限度額が異なるなど、この制度の適用に当たっては、租税特別措置法における交際費等の範囲や、接待飲食費の意義について正しく理解できていることがポイントとなる。
 また、この制度の適用に当たって、交際費等と他の費用との区分が問題となる。1売上割戻しと同一の基準により旅行等に招待する費用は交際費等に該当すること、2下請け企業の従業員のために支出する費用は業務委託のために要する費用として交際費等に該当しないこと、3取引の謝礼等として支出する金品等の費用は交際費等に該当すること等が正しく理解できているかがポイントとなる。

〔第二問〕

 わが国の税制の特徴は、ほぼ毎年度改正がなされることであり、税理士にはその改正に適切に対応していくことが求められる。そこで本問は、近時の法人税制の改正内容が正しく理解されているかどうかに主眼を置いた。
 また、税理士が実務において直面する事項についても、それぞれの法的要件等が正しく理解されているかを問うこととした。

問I

問1

 論点は、租税公課・納税充当金に関する当期中の経理処理から、税務上調整すべき金額を正しく把握できるかどうかである。具体的には、1納税充当金の処理、2仮払金の処理、3延滞税、延滞金等の処理、4その他損金不算入とされる租税公課の適正な理解がポイントとなる。
問2及び3
 論点は、リース取引に関し、所有権移転外リース取引と所有権移転リース取引の意義及びその取扱いの違いにつき、正しい理解とそれぞれの適切な税務処理を問うものである。
問4及び5
 本問は、有価証券の取引等に関する複合的・総合的理解を問うものである。また、受取配当金に関しては、平成27年度税制改正による受取配当金の益金不算入制度の見直しにつき正しく理解されているかを問うものである。具体的には、1資本の払戻しに伴うみなし配当金額、2期末評価、3受取配当金の益金不算入額の算出、4控除所得税額の算出がポイントとなる。

問II

問6乃至9

 組織再編税制は、平成13年度の施行以来数次の改正がなされており、実務においても数多くの事例が積み重ねられている重要な項目である。本問は、その中でも実務において特に活用事例の多い適格合併につき、1合併後の棚卸資産の評価方法、2合併後の減価償却資産の償却方法、3定期同額給与の正しい理解、4数次の税制改正による青色欠損金の繰越期間の正しい理解を問うものである。