出題のポイント

〔第一問〕

問1

 納期限が未到来の国税について、災害により財産に相当な損失を受けた場合は、納期限から最長1年間にわたり納税の猶予(通法461)が適用される。
 上記の猶予期間を経過した後も、災害を受けたことにより、その国税の納付が困難であるときは、最長1年間の納税の猶予(通法462一)が適用され、更に1年間の猶予期間の延長(通法467)により、合わせて最長で3年間、納税が猶予される。
 本問は、これらの災害に関する納税の猶予の関係を正しく理解しているかを問うものである。

問2

 滞納処分による差押えは、督促から一定期間を経過したときに可能となるが(徴法471一)、それよりも早い時期に差押えが可能となる例外があり、これを時系列で示すと次のとおりとなる。

  1. (1) 納税者が不正の行為により国税を免れようとした場合など、繰上請求事由に該当する場合において、納税義務の成立後に行う繰上保全差押え(通法383、徴法471二)
  2. (2) 法定申告期限後に国税犯則取締法による犯則調査を受けた場合に行う保全差押え(徴法471二、1591
  3. (3) 繰上請求事由に該当する場合において、税額の確定後に行う繰上請求による差押え(通法381、徴法471二)
  4. (4) 繰上請求事由に該当する場合において、督促後、直ちに行う繰上差押え(徴法472
  5. (5) 督促後、一定期間を経過した後に行う差押え(徴法471一)

 本問は、これらの制度の関係を時系列で正しく理解しているかがポイントとなる。

〔第二問〕

問1

 差し押さえた自動車を換価する場合は、事前に徴収職員がその自動車を占有する必要があり(徴法91)、この場合に滞納者の自動車を占有する第三者が留置権に基づき引渡しを拒否するときは、その第三者に自動車の引渡しを命じることができる(徴法58、7134)。
 一方、その第三者は、留置権の被担保債権につき、換価代金から優先的に配当を受けることにより、国税の徴収との調整が図られることになる(徴法21)。
 本問は、滞納者の財産を占有する留置権者の権利と国税の徴収との調整に関する制度の理解度を問うものである。

問2

 滞納者が自身を判定の基礎として同族会社に該当する会社の株式を取得したことなど、一定の要件に該当するときは、その同族会社は、その株主である滞納者の国税について第二次納税義務を負うことになる(徴法35)。
 本問は、設例の事実関係に即して、自動車からの徴収だけでなく、第二次納税義務を負う同族会社からの徴収も可能であることを、徴収不足との関係を含め、適切に説明することができるかがポイントとなる。