問1
問2
滞納処分による財産の差押えは、強制的に租税債権を満足させるために行われるものであることから、そのために必要な財産以外の財産の差押えは禁止され、また、国税に優先する担保権の設定があり、差押えによっても配当が見込まれない財産の差押えも禁止されている(徴法48)。さらに、私法秩序との調整を図りつつ、国税の収入を確保するため(徴法1)、徴収職員は、財産の差押えに当たっては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者の有する権利を害さないよう努めなければならない(徴法49)。
本問は、これらの差押えの一般的な制限についての理解度を問うものであり、与えられた事実関係から、国税の全額を徴収するために差し押さえるべき財産を適切に選択することができるかどうかがポイントとなる。
問1
滞納者につき滞納処分の執行をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、税務署長は滞納処分の執行を停止することができる(徴法153二)。この場合において、差し押さえた財産があるときは、税務署長はその差押えを解除しなければならない(徴法153
)。
本問は、この滞納処分の停止の要件及び効果に関する理解度を問うものであり、設例の事実関係から、給料の差押えの可否、及び滞納処分の停止の適否を適切に判断することができるかどうかがポイントとなる。
問2
滞納者が事業に係る国税を滞納したまま親族にその事業を譲渡した場合は、一定の要件の下、その事業を譲り受けた親族は、譲受財産及びその異動により取得した財産を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負うことになる(徴法38)。
本問は、この事業を譲り受けた親族の第二次納税義務に関する理解度を問うものであり、特に滞納処分の対象が譲受財産及び取得財産に限られる物的第二次納税義務の性質についての正確な理解がポイントとなる。