出題のポイント

〔第一問〕

  1. 1 引当金に関する企業会計原則の規定に関する基本的知識を問う問題である。
  2. 2 個別の引当金の性格および貸借対照表上の表示に関する理解を問う問題である。
  3. 3 引当金計上の必要性を、「費用・損失の発生」と「適正な期間損益計算」のそれぞれの意味に関連付けて深く理解しているかどうかを問う問題である。
  4. 4 資産除去債務の資産負債両建処理の根拠を、投下資本の回収余剰計算への適合性と、将来キャッシュフロー予測への有用性の観点から理解しているかどうかを問う問題である。(資産除去債務に関する会計基準34項・41項)

〔第二問〕

 近年の経済社会の変容−産業経済重視から情報化社会を前提にした金融経済重視への変容−に伴って、会計理論・制度では、金融資産の一部について、公正価値評価を妥当性のあるものとして認めながらも、事業用資産−特に固定資産−に関しては、基本的に取得原価評価を堅持している。第二問では、このような現状を踏まえて、減損会計基準で示されている論理と賃貸等不動産は時価開示されるものの、その評価損益を計上しないという論理を問うたものである。

  1. 1 本問は、「固定資産の減損に係る会計基準」、「固定資産の減損に係る会計基準注解」及び「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」の一部抜粋した文章を提示し、その基本的な事項について問う問題である(「固定資産の減損に係る会計基準」三、「固定資産の減損に係る会計基準注解」(3)及び、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」5、8)。
  2. 2 本問は、固定資産の減損と減損処理の内容を問う問題である(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」三3)。
  3. 3 本問は、共用資産の認識と測定に関して、原則的な方法を問う問題である(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」四2(7)2)。
  4. 4 本問は、減損損失の戻入れはなぜ行われないのかということを問う問題である(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」四3(2))。
  5. 5 本問は、「固定資産の減損に係る会計基準注解」(注1)で使用されている基本的な用語の意味が理解されているかを問う問題である(「固定資産の減損に係る会計基準注解」(注1)の1〜4)。
  6. 6 本問は、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」第18項において、評価差額を損益とすることを否定しているが、その理由を問う問題である(「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」第14、15項、「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」六2)。

〔第三問〕

 第三問は、会社法及び会社計算規則の基本的な理解度を広範囲に問う問題である。資料を正確かつ横断的に読み取って、注記事項を含めた計算書類等を作成できるかを問うている。

  1. (1) 現金及び預金について、その範囲及び基本的な組み替え事項に関する理解を問う。
  2. (2) 売上の計上基準及び会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準に関する理解を問う。
  3. (3) 貸付金、借入金について、貸借対照表における表示と区分に関する理解を問う。
  4. (4) 金銭債権について、金融商品に関する会計基準における債権区分の考え方と貸倒引当金の設定に関する理解を問う。
  5. (5) 有価証券について、金融商品に関する会計基準における有価証券の評価方法等に関する理解を問う。
  6. (6) 棚卸資産について、棚卸資産の評価に関する会計基準における棚卸資産の評価基準及び評価方法に関する理解を問う。
  7. (7) 有形固定資産について、固定資産の減損に係る会計基準及びリース取引に関する会計基準に関する理解を問う。
  8. (8) 従業員賞与について、賞与引当金の処理に関する理解を問う。
  9. (9) 退職給付会計について、退職給付に係る会計基準における簡便法に基づく引当金の処理に関する理解を問う。
  10. (10) 第三者割当増資について、会社法及び会社計算規則に基づく処理に関する理解を問う。
  11. (11) 諸税金について、納付税額等の処理に関する理解を問う。
  12. (12) 税効果会計について、税効果会計に係る会計基準における繰延税金資産及び繰延税金負債等の処理に関する理解を問う。
  13. (13) 会社法及び会社計算規則に定める貸借対照表及び損益計算書の区分、項目及び名称に関する理解を問う。
  14. (14) 重要な会計方針に係る事項に関する注記、会計方針の変更に関する注記、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記についての理解を問う。