平成23年12月
国税庁
東日本大震災により被災された方等については、所得税に関して、パンフレット(所01)「東日本大震災により被害を受けられた方へ」及びパンフレット(所02)「東日本大震災により被害を受けられた個人事業者の方へ」の措置のほか、新たに次のような税制上の措置が追加されました。
東日本大震災によって自己の所有する家屋が被害を受けたことにより自己の居住の用に供することができなくなった方が、住宅の取得等をしてその住宅を居住の用に供した場合(以下「東日本大震災の被災者の住宅の再取得等の場合」といいます。)には、選択により、通常の住宅借入金等特別控除の適用に代えて、次表のその居住の用に供した年(居住年)に応じた控除率等による「住宅の再取得等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例」を適用できます(控除期間は、10年です。)。
居住年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 |
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住宅借入金等の年末残高の限度額 | 4,000万円 (参考 通常:4,000万円) |
4,000万円 (参考 通常:3,000万円) |
3,000万円 (参考 通常:2,000万円) |
控除率 | 1.2% (参考 通常:1.0%) |
1.2% (参考 通常:1.0%) |
1.2% (参考 通常:1.0%) |
(注) 住宅借入金等特別控除とは、住宅借入金等で家屋の新築、購入又は増改築等をして居住の用に供した場合で、一定の要件を満たすときに、次の算式により計算した額を所得税の額から控除できる制度です。
【 住宅借入金等特別控除額(100円未満の端数切捨て) = 住宅借入金等の年末残高 × 控除率 】
○ この特例の対象となる住宅の再取得等とは、次のとおりです。
(注) 「通常の修繕によっては原状回復が困難な損壊」とは、今後取壊し若しくは除去せざるを得ないと認められる又は相当の修繕を行わなければ今後居住の用に供することができないと認められる損壊をいいます。
東日本大震災によって居住の用に供することができなくなった家屋に係る住宅借入金等特別控除と東日本大震災の被災者の住宅の再取得等の場合の住宅借入金等特別控除は、重複して適用できます(「重複適用の特例」)。この場合の控除額はそれぞれの控除額の合計額となります。
災害関連支出については、その災害がやんだ日から1年以内に支出したものが雑損控除の対象となりますが、東日本大震災により住宅や家財に損害が生じた場合には、3年以内に支出されるものが対象となります。
雑損失の金額でその年分の所得金額から控除しきれない金額を、翌年以後繰越して控除する場合は、損失が生じた年分につき、原則として、その損失に関する事項を記載した確定申告書を確定申告期限までに提出していること、その翌年以後の年分につき、連続して確定申告書を提出していることが、その要件とされていましたが、の要件については、確定申告書を確定申告期限後に提出した場合でも適用を受けることができることとされました。
認定地方公共団体の指定を受けた方が、その指定があった日から5年を経過する日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内の日の属する各年の適用期間内において、復興産業集積区域内の事業所で雇用する被災者等に対して給与等を支給した場合には、その支給した額の10%相当額(事業所得に係る所得税額の20%を限度とします。)をその年分の所得税額から控除できます。
認定地方公共団体の指定を受けた方が、復興産業集積区域内において、復興特区法の施行日から平成28年3月31日までの間に、一定の機械装置及び一定の建物等の取得等(取得又は製作、若しくは建設)をして、これを特定の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日の属する年において、その取得価額に一定割合(次表参照)を乗じた金額の特別償却又は取得価額に一定割合(次表参照)を乗じた金額の税額控除の選択適用ができます。
なお、税額控除される金額は、その年分の不動産所得又は事業所得に係る所得税額の20%相当額が限度とされ、控除しきれなかった金額については、4年間の繰越しができます。
認定地方公共団体の指定を受けた方が、復興特区法の施行日から平成28年3月31日までの間に、一定の開発研究用資産の取得等をして、これを復興産業集積区域内において、開発研究の用に供した場合には、その開発研究の用に供した日の属する年分の事業所得の金額の計算上、即時償却(取得価額の全額を必要経費に算入)することができます。
相当数の住宅が滅失した地域の居住の安定の確保に寄与する事業を行う方として認定地方公共団体の指定を受けた方が、復興居住区域内において、復興特区法の施行日から平成26年3月31日までの間に、被災者の居住の確保に資する一定の要件を満たす優良な賃貸住宅(被災者向け優良賃貸住宅)を取得又は新築して、これを賃貸住宅供給事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日の属する年において、その取得価額の25%相当額の特別償却又は取得価額の8%相当額の税額控除の選択適用ができます。
なお、税額控除される金額は、その年分の不動産所得に係る所得税額の20%相当額が限度とされ、控除しきれなかった金額については、4年間の繰越しができます。
被災代替資産等の特別償却の対象資産に二輪車等が追加されました。
また、被災資産の範囲について、東日本大震災によって実質的に事業の用に供することができなくなったものが対象資産であることが明確化されました。
特定激甚災害地域内において、平成23年12月14日から平成26年3月31日までの間に、被災者向け優良賃貸住宅を取得又は新築して、これを賃貸の用に供した場合には、その賃貸の用に供した日以後5年内の各年について、不動産所得の金額の計算上、その被災者向け優良賃貸住宅の償却費として、その年の普通償却額の100分の150(耐用年数が35年以上のものについては、100分の170)に相当する金額を必要経費に算入することができます。
復興指定会社により発行される株式(その復興指定会社の指定の日から同日以後5年を経過する日までの間に発行される株式に限ります。)を、その発行の際に、払込みにより取得した場合において、その株式の取得に要した金額(1,000万円を限度とします。)については、寄附金控除を適用できます。
次に掲げる買換えの特例等の適用を受ける方が、東日本大震災に起因するやむを得ない事情により、買換資産等の取得をすべき期間内にその取得をすることが困難となったときには、納税地の所轄税務署長の承認手続を経て、その取得をすべき期間を経過した日以後2年以内の日で買換資産等を取得できるものとして税務署長が認定した日等までその取得をすべき期間の延長が認められます。
買換えの特例等 | 延長の対象となり得るケース |
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収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法33) | 代替資産の取得をすべき期間の末日が平成23年3月11日から同年12月31日までの間にある場合 |
交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法33の2) | 代替資産の取得をすべき期間の末日が平成23年3月11日から同年12月31日までの間にある場合 |
特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2) | 譲渡資産を平成22年1月1日から平成23年3月11日までの間に譲渡した場合 |
特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(措法37) | 買換資産の取得をすべき期間の末日が平成23年3月11日から同年12月31日までの間にある場合 |
既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5) | 買換資産の取得をすべき期間の末日が平成23年3月11日から同年12月31日までの間にある場合 |
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41の5) | 譲渡資産を平成22年1月1日から平成23年3月11日までの間に譲渡した場合 |
この特例の適用を受けるためには、平成24年3月15日までに、一定事項を記載した申請書に東日本大震災に起因するやむを得ない事情により買換資産等の取得が困難であると認められる事情を証する書類を添付して、その申請書を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
平成23年12月31日を末日とする予定期間内に優良住宅地等のための譲渡に該当することが確実であるとして軽減税率の特例(措法31の2)の適用対象とされた事業について、東日本大震災に起因するやむを得ない事情により、その予定期間内に開発許可等を受けることが困難となった場合には、事業者の事業所等の所轄税務署長の承認手続きを経て、平成25年12月31日まで、この予定期間の延長が認められます。
この特例を受けるためには、
その有していた家屋でその居住の用に供していたものが、東日本大震災により滅失(注)したことによって、その居住の用に供することができなくなった方について、その居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等を譲渡した場合の次に掲げる譲渡所得の課税の特例に係る譲渡期間の要件が、災害があった日から7年(租税特別措置法の規定では3年)を経過する日の属する年の12月31日までの間とすることとされました。
(注) 通常の修繕によっては原状回復が困難な損壊を含みます。
この延長の特例の適用を受けるためには、滅失をした家屋の敷地の用に供されていた土地等を譲渡したことによる譲渡所得の確定申告の際に、確定申告書に、この特例の適用を受ける旨を記載するとともに、一定の書類を添付する必要があります。
個人が有する土地等(棚卸資産その他これに準ずる一定のものは除かれます。)で特定被災市街地復興推進地域※1内にあるものにつき被災市街地復興土地区画整理事業※2が施行された場合において、その土地等に係る換地処分により、次に掲げる代替住宅等を取得したときは、譲渡所得の課税上、その換地処分により譲渡した土地等の譲渡はなかったものとして、いわゆる取得価額の引継ぎにより課税の繰り延べが行われます。
【代替住宅等】
この特例の適用を受けるためには、確定申告書に、この特例の適用を受ける旨を記載するとともに、被災市街地復興土地区画整理事業の施行者から交付を受けた土地等に係る換地処分により代替住宅等を取得したことを証する書類などの一定の書類を添付する必要があります。
(1) 個人の有する土地等(棚卸資産その他これに準ずる一定のものは除かれます。)が次の、に該当することとなった場合には、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法33二)又は収用交換等の場合の5,000万円特別控除(措法33の4)の適用を受けることができます。
(2) 個人が有する土地等(棚卸資産その他これに準ずる一定のものは除かれます。)で特定住宅被災市町村の区域内にあるものが、平成23年12月14日から平成28年3月31日までの間に、次に掲げる土地等の買取りを行う者に買い取られる場合には、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除(措法34)の適用を受けることができます。
ただし、この土地等の買取りを行う者がこれらの者以外の者に代わり買い取る場合又は上記(1)に掲げる場合にはこの特例の適用を受けることはできません。
【土地等の買取りを行う者】
地方公共団体、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、地方道路公社又は土地開発公社
(3) 個人が有する土地等(棚卸資産その他これに準ずる一定のものは除かれます。)で特定被災市街地復興推進地域内にあるものが、次に掲げる場合(上記(2)に該当する場合を除きます。)に該当することとなった場合には、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除(措法34の2)の適用を受けることができます。
(4) 個人が、土地開発公社に対し、その有する所有期間5年超の土地等(棚卸資産その他これに準ずる一定のものは除かれます。)で次に掲げる土地等を譲渡した場合において、その譲渡に係る土地等が独立行政法人都市再生機構が施行するそれぞれ次に掲げる事業の用に供されるものであるときは、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率の特例(措法31の2)の適用を受けることができます。
このパンフレットのお手続きの内容などに関し、ご質問・ご不明な点がございましたら、最寄りの税務署にお気軽にお問い合わせください(住所地の所轄税務署以外の税務署でも、ご相談を受け付けています。)。
税務署窓口でのご相談は、お待ちいただくことなくご相談に対応できるよう、お電話等で事前に相談日時等をご予約いただいています。
ご予約の際には、お名前・ご住所・ご相談内容等をお伺いいたします。
【電話相談・税務署開庁時間/午前8時30分〜午後5時(土日祝、年末年始(12月29日〜1月3日)を除く)】
国税庁ホームページには、東日本大震災により被害を受けた方の申告・納税等に関する各種パンフレット、各種手続きに使用する様式などを掲載しています。