災害見舞金の支給1

[Q33] 当社では、被災した従業員や役員に対し、住宅や家財の損害の程度に応じて見舞金を支給することにしました。この見舞金については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

[A]
 個人が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(役務の対価たる性質を有するものを除きます。)については、所得税は課されません (所法91十七、所令30三)。
 会社が、被災者の所有資産の損害の程度(全壊、半壊、床上浸水、床下浸水など)に基づき見舞金の支給額を定めるなど、損害の程度に応じて一定の基準をもって見舞金の支給額を定めている場合には、「相当の見舞金」に該当すると考えられるため、給与として源泉徴収をする必要はありません。

災害見舞金の支給2

[Q34] 当社では、慶弔見舞金規程を改めて、従業員や役員の父母等の家屋が災害により被害を受けた場合、従業員や役員に対し一定の見舞金を支給することにしました。この見舞金については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

[A]
 個人が支払を受ける葬祭料、香典又は災害等の見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされています(所基通9−23)。
 会社が、従業員や役員に対し、従業員や役員と被災した親族との関係、被災の程度に応じた一定の基準により見舞金を支給する場合には、その支払われる見舞金が社会通念上相当なものと認められるときは、給与として源泉徴収をする必要はありません。

生活資金の無利息貸付け

[Q35] 当社では、被災した従業員に対して、当面の生活に必要な資金を無利息で貸与することにしました。この場合、貸付期間に応ずる利子相当額の経済的利益については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

[A]
 災害、疾病等により臨時的に多額の生活資金を要することとなった従業員や役員に対し、その資金に充てるために無利息又は低利で貸し付けた金額につき、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に従業員や役員が受ける経済的利益については、課税しなくて差し支えないこととされています(所基通36−28(1))。
 例えば、被災した従業員に対して、生活に必要な資金を、損害の程度に応じた返済期間を定め、無利息で貸し付けた場合の利息相当額の経済的利益については、合理的と認められる期間内に受ける経済的利益と考えられますので、給与として源泉徴収をする必要はありません。

社宅の無償貸与

[Q36] 当社では、自宅が災害により居住不能になった従業員や役員に対して、新たな住居に入居できるまで又は自宅の修繕が完了して居住可能となるまでの間、無償で社宅を貸与することにしました。この場合、無償で社宅を貸与することによる経済的利益については、給与として源泉徴収が必要でしょうか。

[A]
 個人が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(役務の対価たる性質を有するものを除きます。)については、所得税は課されません (所法91十七、所令30三)。
 例えば、被災した方が新たな住居に入居できるまで又は自宅の修繕が完了して居住可能となるまでの間、無償で社宅を貸与する場合には、その貸与期間に受ける家賃相当額の経済的利益は「相当の見舞金」に該当するものと考えられるため、給与として源泉徴収をする必要はありません。

他の交通手段による交通費の支給

[Q37] 当社では、従業員が災害や計画停電により通勤に利用する鉄道が利用できないため、タクシーなど他の交通手段を利用した場合には、他の交通手段に係る交通費を支給することにしています。この場合において、その支給する交通費は給与として源泉徴収が必要でしょうか。

[A]
 給与所得者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるために支給される金品で、その旅行に通常必要と認められるものは非課税とされています(所法91四)。
 通勤に利用する交通手段が災害などにより利用することができないため、他の交通手段を利用した場合に支給する実費相当額の交通費については、その利用した交通手段が合理的なものであれば、その支給した交通費は旅費に準じて非課税と考えられるため、給与として源泉徴収をする必要はありません。

(注) 災害などにより交通手段が遮断されたため、やむを得ず宿泊した場合において実費で支給する宿泊費用も、同様に取り扱われると考えられます。