被災者に対して自社製品等を提供するための費用

[Q24] 当社では、得意先の従業員等が避難している特定の避難所に対して、救援物資として自社製品を提供しました。法人が、被災した地域の住民に対して自社製品を提供した場合、その提供に要する費用の額は損金の額に算入されるとのことですが、当社のように特定の避難所に対して行う自社製品の提供も同様に取り扱われますか。

[A]
 法人が、災害による被害を受けた不特定又は多数の者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用の額は、寄附金及び交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金の額に算入されますが、この取扱いは、自社製品等の提供が、国等が行う被災者に対する物資の供給と同様の側面を有していること、また、一方では、その経済的効果からいえば、広告宣伝費に準ずる側面を有していることによるものです(法基通9−4−6の4)。
 したがって、あらかじめ特定のごく限られた者のみに対する贈答(利益供与)を目的として行われた自社製品等の提供は、寄附金又は交際費等に該当します。
 ただし、お尋ねのように、得意先の従業員等が避難している特定の避難所に対して行う自社製品の提供であっても、多数の被災者に対して救援のために緊急に提供した自社製品については、あらかじめ特定のごく限られた者のみに対する贈答(利益供与)とは異なることから、広告宣伝費に準ずるものに該当します。

自社製品等の範囲

[Q25] 自社製品等とはどのようなものをいうのですか。他の者から購入したものも含まれるのでしょうか。

[A]
 自社製品等を不特定又は多数の被災者に提供する場合に、その提供のために要する費用が寄附金又は交際費等以外の費用として取り扱われるのは、その提供が、経済的効果からいえば、広告宣伝費に準ずる側面も有しているとみることができることによるものです(法基通9−4−6の4)。
 したがって、自社製品等とは、原則として、法人が製造等を行った製品でその製品に法人名等が表示されているものをいいますが、法人名が表示されていない物品や他から購入した物品であっても、その提供に当たって、企業のイメージアップなど実質的に宣伝的効果を生じさせるようなものであれば、これに含めて差し支えありません。

被災小売業者に対する商品(自社製品)の交換・無償補てん

[Q26] メーカーである当社が、当社の製品等を取り扱っている小売業者に対し、災害により滅失又は損壊した商品(自社製品)と同種の商品を交換又は無償で補てんした場合にも、その交換又は補てんに要した費用は交際費等に該当しないものとして取り扱われますか。

[A]
 取引先に対して自社製品である事業用資産を提供した場合、その提供に要した費用は、災害見舞金と同様に取扱い、寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。
 また、直接の取引先ではない自社の製品等を取り扱っている小売業者に対して、災害により損壊した商品を無償で交換した場合や滅失した商品を無償で補てんした場合にも、それに要した費用は広告宣伝費又は販売促進費としての側面を有しているとみることができるため、寄附金又は交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます(措通61の4(1)−10の3(注)1)。

ボランティア活動中の人件費

[Q27] 当社の社員を災害復旧活動にボランティアとして派遣した場合に、ボランティア活動中の給与相当額は、寄附金として取り扱われますか。

[A]
 ボランティアとして被災地で活動する社員の形態には、会社の業務命令によりボランティアとして参加している場合や個人としての資格で参加している場合などがあると考えられますが、いずれの場合にも、その社員に対して支給する給与相当額は、寄附金には該当しません。

(注) 有給休暇等を利用して、個人としての資格で参加している社員に対して支給する給与相当額は、寄附金には該当しません。