取引先の範囲

[Q19] 当社では、商社を通じた取引により商品を納入している得意先が災害により被害を受けました。この得意先とは、当社が自ら価格交渉を行うなど実質的な取引関係にあることから、その復旧支援を目的として、この得意先に係る売掛金の一部について、商社を通じて免除することを検討しています。
 ところで、法人が、災害により被害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として売掛金等の全部又は一部を免除した場合には、その売掛金等を免除したことによる損失は、損金の額に算入されるとのことですが、この場合の取引先には、当社の得意先のように直接取引を行っていない者も含まれるのでしょうか。

[A]
 お尋ねの「取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のように直接取引を行うもののほか、商社等を通じた取引であっても自ら価格交渉等を行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者も含まれます(法基通9−4−6の2(注))。

一部の者が行う売掛債権の免除

[Q20] 被災した法人と取引をしているのは当社も含めて10社程度ですが、当社だけが売掛債権を免除しても、寄附金又は交際費等以外の費用として取り扱われるのでしょうか。

[A]
 法人が売掛金等の債権を免除した場合に、その免除したことによる損失が寄附金や交際費等以外の費用として取り扱われるのは、その免除が取引先の復旧過程においてその復旧支援を目的として行われるものであるからです(法基通9−4−6の2)。
 この場合の復旧支援は、それを行うかどうかは個々の企業の判断によらざるを得ないのであり、その被災した法人の取引先のすべてが復旧支援を行うことが前提とされているわけではありません。
 したがって、被災した法人に対する復旧支援のための売掛債権の免除が一部の法人のみによってなされていたとしても、その免除が取引先の復旧過程において復旧支援を目的として行われるものについては、寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。

売掛債権の免除の時期

[Q21] 売掛債権の免除は、いつまでに行ったものが損金として認められるのでしょうか。

[A]
 法人が売掛金等の債権を免除した場合に、その免除をしたことによる損失が寄附金や交際費等以外の費用として取り扱われるのは、その免除が取引先の復旧過程においてその復旧支援を目的として行われるものであるからです(法基通9−4−6の2)。
 したがって、売掛債権の免除は、災害発生後相当の期間内、例えば、店舗等の損壊によりやむなく仮店舗により営業を行っている場合のように、被災した取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内に行うことが前提となります。