[A]
二次災害を回避するなどの目的で、被災した建物について耐震性を高めるために行った補強工事は、同規模の地震や余震の発生を想定し被災建物の崩壊等の被害を防止するなど、被災前の効用を維持するためのものが多いと考えられます。
このため、法人が、被災資産(その被害に基づき評価損を計上したものを除きます。)の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、修繕費として経理したときは、その処理が認められます(法基通7−8−6(2))。
[A]
これらの取替工事は、被災資産(その被害に基づき評価損を計上したものを除きます。)の被災前の効用を維持するためのものであると考えられます。
このため、これらの取替工事のために支出した費用について、法人が、これを修繕費として経理したときは、その処理が認められます(法基通7−8−6(2))。
[A]
損壊した護岸の復旧のために要する費用のうち、被災前の効用を維持するための原状回復費用は修繕費に該当します。
他方、原状回復と併せてその護岸の拡張工事を行った場合には、その拡張工事部分は、原則として資本的支出として新たな減価償却資産を取得したものとされます(法令55、132)。
なお、この場合の資本的支出と修繕費の区分については、新たに拡張した部分のみを資本的支出として差し支えありませんが、その区分を合理的に行うことが困難な場合には、法人が、損壊した護岸のために要する費用の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、その処理が認められます(法基通7−8−6(3))。
[A]
被災資産以外の資産について耐震性を高めるための工事を行った場合には、原則として、その工事に要した費用は、その資産の使用可能期間の延長又は価額の増加をもたらすものとして資本的支出に該当し、その支出金額が新たな減価償却資産の取得価額となります(法令55、132)。
[A]
法人が、被災資産(その被害に基づき評価損を計上したものを除きます。)の修繕に代えて新規に資産を取得した場合には、新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は資産の取得価額となります(法基通7−8−6(注)1)。
したがって、その取得費用を修繕費として処理することは認められません。
なお、この場合、被災した建物等を取り壊しているときには、その建物等の帳簿価額を除却損として計上することになります。
[A]
今回の地震による液状化現象等により地盤の強化が必要となった場合に、被災した工場を取り壊してその敷地にパイルを打ち込んだときは、そのパイルの打ち込みは、その土地の被災前の効用を維持するために行う工事であり、土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加させるための支出には該当しません。
このため、法人が、こうしたパイルの打ち込みに要した費用を修繕費として経理したときは、その処理が認められます(法基通7−8−6(2))。
[A]
その地盛りを行った費用については、被災資産(その被害に基づき評価損を計上したものを除きます。)につき原状を回復するために要した復旧費用として、支出した日を含む事業年度の損金の額に算入することができます(法基通7−8−6(1))。
[A]
災害により被害を受けた製造設備に係る修繕費用や、被災したことによる操業休止中に支払った人件費などについて、適正な原価計算に基づいて原価外処理(費用処理)しているときは、税務上もその原価外処理が認められます。
(注) 原価計算基準によれば、製造原価に算入すべき原価は、正常な状態の下における経営活動を前提として把握された価値の消費であり、異常な事態を原因とする価値の減少を含まないものとされています(原価計算基準第一章三)。そして、異常な事態を原因とする価値の減少として、火災、震災、風水害等の偶発的事故による損失が掲げられています(同第一章五(二)2)。