被災資産の評価損

[Q4] 災害により、保有する資産に著しい損傷が生じていますが、税務上、評価損の計上が認められるのでしょうか。また、評価損の計上の対象となるのは、どのような資産ですか。

[A]
 法人の有する商品、店舗、事務所等の資産につき災害による著しい損傷が生じたことにより、その資産の時価が帳簿価額を下回ることとなった場合には、その時価と帳簿価額との差額について、損金経理をすることにより、評価損を計上して損金の額に算入することができます(法法332、法令681)。
 この場合、評価損を計上することができる資産には、被災した資産ということを前提とすれば、棚卸資産、固定資産及び固定資産を利用するために支出した分担金等に係る繰延資産がこれに該当します。

原発事故による被災資産の評価損〔平成24年12月追加〕

[Q4-2] 当社は、原発事故による賠償対象区域内に土地・建物を保有しています。この度の原発事故により、資産の価値が減少する損害があったとして、その土地・建物が賠償の対象とされました。ところで、当社が賠償対象区域内に保有する土地・建物について、税務上、評価損を計上することができるのでしょうか。
 (注)賠償対象区域とは、平成24年7月24日付で東京電力株式会社が公表した「避難指示区域の見直しに伴う賠償の実施について(避難指示区域内)」において、財物賠償の対象地域とされた帰還困難区域及び居住制限区域・避難指示解除準備区域をいいます。

[A]
 法人の有する固定資産について、災害による著しい損傷やその所在する場所の状況の著しい変化などの物損等の事実が生じたことにより、その資産の時価が帳簿価額を下回ることとなった場合には、その時価と帳簿価額との差額について、損金経理をすることにより、評価損を計上して損金の額に算入することができます(法法332、法令681)。
 お尋ねの賠償対象区域内にある土地・建物は、その所在する場所の状況が原発事故前に比べ著しく変化しており、評価損が計上できる事実である「資産の所在する場所の状況の著しい変化」が生じているものと考えられます。したがって、当該土地・建物について、その時価が帳簿価額を下回る場合には、損金経理することにより、その差額について、評価損を計上することができます。

 原発事故により被災した減価償却資産の有姿除却〔平成24年12月追加〕

[Q4-3] 当社では、原発事故による賠償対象区域内に保有する建物について、諸般の事情を踏まえた結果、今後、事業の用に供する可能性はありません。また、その解体・撤去等も困難であることから、当社では、当該建物を現状のまま除却処理することとしました。
 この場合、当該建物について、税務上、除却損の計上が認められるのでしょうか。

[A]
 お尋ねの建物のように、その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産については、その帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができます(法基通7-7-2)。