平成19年3月13日
国税庁

 平成17事務年度(平成17年7月〜平成18年6月)に実施した酒類の取引状況等実態調査の実施状況は、別添のとおりです。
 当庁としては、この公表結果を基に酒類業界が公正な取引を自主的に行うよう 促していくこととしています。

【問い合わせ先】
国税庁 課税部 酒税課
団体企業係
TEL(代) 03(3581)4161
(内線 3438)


別添

平成19年3月13日
国税庁

平成17事務年度における酒類の取引状況等実態調査実施状況の公表について

1 調査・指導の目的
 国税庁は、酒類の公正な取引環境を整備するため、平成4事務年度から酒類の取引状況等実態調査を実施し、当庁の「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針(平成10年4月)」(以下「指針」といいます。)に示された公正なルールに則していない取引が認められた場合には合理的な価格設定を行うよう指導するなどして、公正な取引に向けた酒類業者の自主的な取組を促しています。
(注)平成18事務年度から「酒類に関する公正な取引のための指針」(平成18年8月)に則した酒類の取引状況等実態調査を実施

(参考) 「指針」に示された公正なルール

(1) 合理的な価格の設定

○ 一般的には酒類の販売価格は、仕入価格(製造原価)、販売費及び一般管理費等の費用に利潤を加えたものとなるはず。

 販売価格=仕入価格(製造原価)+販売費・一般管理費+利潤

○ 致酔性等の酒類の特性にかんがみれば、顧客誘引のためのおとり商品として使用されることは弊害が大きい。

(2) 取引先等の公正な取扱い

○ 酒類の販売価格は、流通コストや取引数量、支払方法、支払条件等の取引条件の差異により差があり、その価格の差は、流通コストや支払条件等の差異に基づくべき。流通コスト、支払条件等の差異に基づく合理的な理由がなく取引先を差別することは、公正なルールに基づいているとは言えない。

(3) 公正な取引条件の設定

○ 大きな販売力を持つ者が自己の都合による返品、従業員等の派遣、協賛金や過大なセンターフィー等の負担、多頻度小口配送等の要請を一方的に行う場合には、公正なルールに基づいているとは言えない。
かかる行為は「取引先等の公正な取扱い」にもとる事態に取引先を追いやることにもなる。

(4) 透明かつ合理的なリベート

○ リベート類には、透明性(支払基準・支払時期等の明確化、取引先への事前開示)及び合理性(支払基準が合理的に説明し得る)が必要である。

2 調査の概要

(1) 調査の概要
 平成17事務年度(平成17年7月〜平成18年6月)においては、約21万場の酒類販売場等のうち、チラシなどの情報から取引に問題があると考えられた酒類販売場等に対する「一般調査」を1,373場、改善を指導した者のうち引き続き改善状況を確認する必要があると考えられた者に対する「フォローアップ調査」を159場、合計1,532場を対象として、酒類の取引状況等実態調査を実施しました。

(注) 調査の実施状況は資料1(PDFファイル/93KB)のとおりです。

(2) 調査結果

イ 一般調査
 チラシなどの情報から取引に問題があると考えられた1,373場に対して一般調査を実施したところ、「指針」のルールに則していない取引が多数認められました。
 取引上の主な問題は、「総販売原価を下回る価格で販売するなど合理的な価格の設定がなされていない」ものであり、1,286場において認められました。
 その他「特定の取引先に対して不透明なリベート類を支払うなど取引先等の公正な取扱いが行われていない」ものが62場、「取引先に帳合変更を示唆された結果、不合理な取引を行うなど公正な取引条件の設定がなされていない」ものが11場において認められました。
 これら「指針」のルールに則していない取引を行っていた者に対しては、「指針」を示しその趣旨を説明し、「指針」のルールに則した取引を行うよう改善指導を行いました。

(注) 主な「指針」のルールに則していない事例は資料2(PDFファイル/178KB)のとおりです。

ロ フォローアップ調査
 改善を指導した者のうち、引き続き、改善状況を確認する必要があると考えられた189場に対してフォローアップ調査を実施したところ、部分的な改善を含め74場において改善が認められました。
 部分的な改善が認められた者を含め、依然として「指針」のルールに則していない取引が認められた185場に対しては、再度、「指針」のルールに則した取引を行うよう指導を行いました。

ハ 自社基準策定状況等確認調査
 主に酒類製造業者及び酒類卸売業者におけるリベートの支出等に係る自社基準の策定状況を確認するため、171場に対して自社基準策定状況等確認調査を実施したところ、132場において自社基準が策定されていました。そのうち46場については遵守体制の整備が図られ、28場においては取引先への提示がなされていました。
 自社基準の策定がない39場、遵守体制の整備が図られていない86場、取引先への提示がない18場、合計143場に対しては、その改善に努めるよう指導を行いました。

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