(特定物納に係る財産の収納価額)

48の2-5 法第48条の2第5項に規定する「申請の時の価額」とは、特定物納申請財産について、当該特定物納の申請書が提出された時の財産の状況により、財産評価基本通達を適用して求めた価額をいうのであるから留意する。
 なお、次の場合にはそれぞれに掲げる価額をもって当該財産の価額として取り扱うのであるから留意する。

  • 1 土地(路線価方式による評価を行うもの)
     その年分に適用する路線価が公開されるまでの期間・・・前年の路線価を用いて評価した価額に時点修正指数を乗じた価額
    (注) 時点修正指数とは、前年末から申請時までの地価の変動率をいい、その年分の地価公示における物納申請された土地の近傍の標準地の地価の変動率を用いることとして差し支えないものとする。
  • 2 土地(倍率方式による評価を行うもの)
     その年分に適用する倍率が公開されるまでの期間・・・前年の固定資産税評価額及び倍率を用いて評価した価額に時点修正指数を乗じた価額
  • 3 取引相場のない株式(純資産価額方式による評価を行うもの)
     その年分に適用する路線価又は倍率が公示されるまでの期間・・・1又は2による土地の価額に基づき計算された取引相場のない株式の価額

(説明)
 特定物納申請における財産の評価は「申請時の価額」とされています。
 この評価方法については、相続税課税評価の方法に準じて相続税財産評価基本通達を適用して評価することとしています。
 一般の物納における収納価額は、相続の開始があった時の財産の状況により財産評価基本通達の定めにより計算された価額であるといえますので、特定物納における収納価額についても「特定物納申請の時の財産の状況により、財産評価基本通達の定めにより計算された価額」をもって「申請の時の時価」として取り扱うこととしています。このように、同一の評価方法を用いることにより、収納価額の計算に当たって簡便性・統一性・公平性が図られると考えられます。
 なお、例えば特定物納申請を行うに当たって、土地を申請財産とする場合には、路線価の公表時期(毎年8月)によっては、申請書を提出するときは当該土地の価額を計算することができないケースもあります。
 このような場合には、簡便に評価額を算定できるような評価方法を設けており、それぞれ次に掲げる方法によることとしています。

  • 1 土地(路線価方式による評価を行うもの)
     その年分に適用する路線価が公示されるまでの期間
    ・・・前年の路線価を用いて評価した価額に時点修正指数を乗じた価額
    (注) 時点修正指数とは、前年末から申請時までの地価の増減率をいい、その年分の地価公示における物納申請された土地を含む地域の地価の増減率を用いることとする。
  • 2 土地(倍率方式による評価を行うもの)
     その年分に適用する倍率が公示されるまでの期間
    ・・・前年の固定資産税評価額及び倍率を用いて評価した価額に時点修正指数を乗じた価額
  • 3 建物
     その年分に適用する倍率が公示されるまでの期間
    ・・・前年の固定資産税評価額及び倍率を用いて評価した価額に時点修正指数を乗じた価額
  • 4 取引相場のない株式
     その年分に適用する路線価又は倍率が公示されるまでの期間
    ・・・1から3による土地、建物の価額に基づき計算された取引相場のない株式の価額
    (注) 次の場合には、特定物納申請時における評価額の算定が困難なため、便宜的に仮の評価額による申請を行った後、評価額の算定が可能となった時点で評価額の訂正を行う取扱いとなります。特定物納申請に当たって、次の場合に該当するときにはあらかじめ税務署(国税局)の物納担当窓口に相談していただくようお願いします。
  • 1 上記1〜4の財産について、その年分の地価公示が公表されるまでの期間
  • 2 上場株式を特定物納申請する場合
     上場株式の評価に当たっては、「その株式が上場されている証券取引所の公表する課税時期の最終価格により、ただし、課税時期の属する月以前3か月間の各月の平均株価の最も低い価格を超える場合は、その最も低い価格による」とされていることから、申請日の属する月が経過するまで評価額の算定ができないことになります。
  • 3 取引相場のない株式(類似業種批準方式)を特定物納申請する場合
     上記2の上場株式と同じ事象に加え、類似業種の株価の公表時期によっては評価額の算定ができない期間があります。