(物納の許可限度額の計算)

41-1 法施行令第17条に規定する物納の許可限度額の算出方法を算式で示せば、次のとおりである。

A−{((B−C−D)×E+F)+(G−H)} (注)算式中の符号は次のとおりである。

 Aは、38-2により計算した額
 Bは、前年の申告所得税の確定申告書等に係る収支内訳書等から求めた1年間の事業に係る収入金額(給与所得者の場合は前年の給与等に係る支給金額)から臨時的な収入に係る金額を控除した額。ただし、最近の事業の実績に変動がある場合は、その実績を踏まえて算出した額を加味して差し支えないものとする。
 Cは、38-2のEの額に12を乗じた額
 Dは、事業の継続のために必要な運転資金の額。事業の継続のために必要な運転資金の額とは、前年の申告所得税の確定申告等に係る収支内訳書等から求めた1年間の事業に係る経費の中から、臨時的な支出項目及び減価償却費を除いた額を当該金額とする。ただし、最近の事業の実績に変動がある場合には、その実績を踏まえて算出した額を加味して差し支えないものとする。
 Eは、当該物納申請税額を延納申請税額であるとみなした場合に、法第38条第1項の規定により延納が認められる最長年数とする。
 Fは、38-2のEの額に3を乗じた額に38-2のFの額を加えた額
 Gは、臨時的収入の額。
 なお、臨時的収入の額とは、おおむね1年以内に発生が見込まれる臨時的な金銭収入(貸付金の返還、退職金の給付の確定等)をいうものとする。
 Hは、臨時的支出の額。
 なお、臨時的支出の額とは、おおむね1年以内に発生が見込まれる臨時的な支出(事業用資産の購入等)をいうものとする。

(説明)
 延納によっても金銭で納付することが困難な金額の範囲については、その金額の計算方法等が政令に規定されたことから、その具体的計算の取扱いについて規定しました。
実務上では「金銭納付を困難とする理由書」に必要事項・金額を記載して計算することができます。この「金銭納付を困難とする理由書」には記載内容を確認できるような参考資料等を添付の上、物納申請書とともに所轄税務署長に提出する必要があります。
なお、「金銭納付を困難とする理由書」の記載内容等に疑義があるときには、税務署長から別途参考資料等の提出を求める場合があるほか、必要に応じて記載内容を確認するための聴き取りや調査等を行う場合があります。

(注) 「金銭納付を困難とする理由書」の様式及び記載内容等の説明については、〔第38条((延納の要件))関係〕38-2(延納の許可限度額の計算)をご覧ください。

(参考) 金銭納付困難金額の算定式について
 延納許可限度額、物納許可限度額の計算式の概要は次のとおりです。

1 延納許可限度額

A−〔(B+C+D)−([E×3]+F)〕
A:納付すべき相続税額  B:現金  C:預貯金  D:換価の容易な財産  E:生活費(1月分)  F:当面必要な運転資金

【延納許可限度額】
相続税額−{(現+預+換)※1−(生活費3月分+当面の運転資金)※2}

※1 手持現預金
※2 当面の生活費等

2 物納許可限度額

A−〔 ((B−C−D)×E+F)+(G−H) 〕額
A:延納許可限度額  B:1年間の収入金額  C:年間の生活費  D:年間の運転資金  E:延納可能最長年数  F:生活費3月分+当面の運転資金  G:臨時的収入  H:臨時的支出

(注) 「F:生活費3月分+当面の運転資金」は延納許可限度額の計算において先に控除していることから、物納許可限度額の計算に当たってはそれを加えることにより、計算上考慮される生活費・運転資金の額は「年間の生活費・運転資金×延納年数」となります。 延納許可限額・物納許可限度額の計算式を併せると次のようになります。

相続税額−{(現+預+換)−(3月分生活費等)}
−{(年間収入−年間生活費等)×延納年数+3月分生活費等 +(臨時収入−臨時支出)}

⇒相続税額−(現+預+換)+(3月分生活費等)−(年収入−年生活費等)×延納年数−(3月分生活費等)−(臨時収入−臨時支出)

【物納許可限度額】
⇒相続税額−(現+預+換)※1−(年収入−年生活費等)×延納年数※2−(臨時収入−臨時支出)※3

※1 手持現預金
※2 経常収支による納付資力
※3 臨時的資力