(延納の許可限度額の計算)

38-2 法施行令第12条に規定する延納の許可限度額の算出方法を算式で示せば、次のとおりである。

A−{(B+C+D)−([E×3]+F)} 
(注)算式中の符号は次のとおりである。

 Aは、法施行令第12条第1項第1号に掲げる額
 Bは、納税義務者がAに係る納期限又は納付すべき日において有する現金の額。
 なお、ここにいう現金とは、強制通用力を有する日本円を単位とする通貨のほか、証券ヲ以テスル歳入納付ニ関スル法律(大正5年法律第10号)により国税の納付に充てることのできる証券を含むものとする。
 Cは、納税義務者がAに係る納期限又は納付すべき日において有する預貯金の額。
 なお、ここにいう預貯金とは、法第10条第1項第4号に規定する金融機関等に対する預金、貯金、積金、寄託金又は貯蓄金をいう。
 Dは、納税義務者がAに係る納期限又は納付すべき日において有する換価の容易な財産の価額。
 なお、ここにいう換価の容易な財産とは、次のような財産をいう。

  • ・ 評価が容易であり、かつ、市場性のある財産で速やかに売却等の処分をすることができるもの
  • ・ 納期限又は納付すべき日において確実に取り立てることができると認められる債権
  • ・ 積立金・保険等の金融資産で容易に契約が解除でき、かつ、解約等による負担が少ないもの

 おって、許可限度額の計算に当たっては、納期限又は納付すべき日における当該財産の時価(又は債権額)相当額により行うものとする。
 Eは、生活のため通常必要とされる1月分の費用。
 なお、生活のため通常必要とされる1月分の費用とは、次の1の額から2の額を控除した額とする。

  • 1 国税徴収法(昭和34年法律第147号)第76条第1項第1号から第4号までの規定に基づき算出される金額相当額(前年の収入金額、所得税、地方税及び社会保険料の額に1/12を乗じた額に基づき計算するものとする。なお、申請者が給与所得者でない場合は、その事業等に係る収入金額等を給与等とみなして計算するものとする。)に治療費、養育費、教育費並びに申請者及び申請者と生計を一にする配偶者その他の親族の資力・職業・社会的地位等の個別事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の金額を加味した額
  • 2 申請者と生計を一にしている収入のある配偶者及び申請者(配偶者を含む。)の扶養控除の対象とならない親族に係る生活費の額並びに申請者(配偶者を含む。)の扶養控除の対象となる親族に係る生活費の額のうち配偶者が負担する額

(注) 1の額に申請者及び申請者と生計を一にする配偶者その他の親族の1月分収入額の合計額に占める申請者の1月分収入額の割合を乗じた額を用いて差し支えない。

 Fは、事業の継続のために当面必要な運転資金の額。
 なお、事業の継続のために当面必要な運転資金の額とは、事業の内容に応じた事業資金の循環期間の中で事業経費の支払や手形等の決済のための資金繰りが最も窮屈になる日のために留保を必要とする資金の額をいい、Aに係る納期限又は納付すべき日の翌日から資金繰りの最も窮屈になると見込まれる日までの期間の総支出見込金額から総収入見込金額を差引いた額(前年同時期の事業の実績を踏まえて推計した額による。)とする。

(注) 前年の申告所得税の確定申告等に係る収支内訳書等から求めた1年間の事業に係る経費の中から、臨時的な支出項目及び減価償却費を除いた額を基礎とし、最近の事業の実績に変動がある場合には、その実績を踏まえて算出した額を加味した額に1/12(商品の回転期間が長期にわたること等の場合は事業の実態に応じた月数/12月)を乗じた額を用いて差し支えない。

(説明)
 金銭で納付することを困難とする金額の範囲については、その金額の計算方法等が政令に規定されたことから、その具体的計算の取扱いについて規定しました。
 実務上では次に掲げる「金銭納付を困難とする理由書」に必要事項・金額を記載して計算することができます。この「金銭納付を困難とする理由書」には記載内容を確認できるような参考資料等を添付の上、延納申請書とともに所轄税務署長に提出する必要があります。
 なお、「金銭納付を困難とする理由書」の記載内容等に疑義があるときには、税務署長から別途参考資料等の提出を求める場合があるほか、必要に応じて記載内容を確認するための聴き取りや調査等を行う場合があります。