(回答)

  1. 物納申請に当たっては、物納申請税額よりも物納に充てる財産の価額が超過することのないように財産を選定していただくことが原則です。
     したがって、分割することが可能な財産、例えば、一筆の更地を物納申請するに当たって、その更地の評価額が物納申請額を超過するような場合には、物納申請額に見合う価額になるように更地を分筆していただく必要があります。
  2. ただし、相続財産の中に他に適当な財産がなく、物納に充てる財産の性質、形状その他の特徴により、延納によっても金銭で納付することが困難な金額を超えて物納を許可することについて、やむを得ない事情があると税務署長が判断した場合には、延納によっても金銭で納付することが困難な金額を超える価額の財産による物納を認めることができます(相続税法41条)。
     このやむを得ない事情とは、例えば、その土地を分割することにより、分筆後に物納に充てようとする土地及び分筆して手元に残る土地のいずれもが居住用あるいは駐車場といったその地域における通常の用途に利用することができないと認められる場合や、法令等の規定により一定の数量又は面積以下に分割が制限されているような場合などをいいます。
  3. その財産の価額が納付すべき相続税額を上回る場合に、物納が許可されたときは、納付すべき相続税額と財産の価額の差額が超過物納として金銭で還付されることになります。

(注) 物納許可限度額を超えて物納許可があった場合の次の取扱いにも留意が必要です。

  1. 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(租税特別措置法39条、租税特別措置法施行令25条の16)
     相続財産を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)の計算において、相続税額に乗じる課税価額に占める土地等の価額の算定に当たって、これまで「許可を受けて物納した土地等及び物納申請中の土地等」が除かれていましたが、今回の改正により、「許可を受けて物納した土地等(物納許可限度額に相当する部分に限る。)」及び「物納申請中の土地等」が除かれることとなりました。
  2. 物納による譲渡所得等の非課税の取扱い(租税特別措置法40条の3、租税特別措置法施行令25条の18の2) 個人がその財産を相続税法の規定により物納した場合には、当該財産の譲渡がなかったものとみなされていましたが、今回の改正により、物納した土地のうち物納許可限度額に相当する部分の譲渡がなかったものとみなされることとなりました。