(回答)
 相続税の物納申請を行う場合には、物納申請期限までに物納申請書に物納手続関係書類を添付して所轄税務署長に提出する必要があります(相続税法42条1項)。
 物納に充てることのできる財産については、管理処分不適格な財産でないこと、物納劣後財産に該当する場合は他に物納に充てるべき適当な財産がないこと、物納に充てることのできる順位によっていることなどの条件があり、財産ごとに物納手続関係書類を添付する必要があります。
 相続財産について協議分割が未了である場合や遺留分減殺請求が行われている場合などは、相続財産の所有権の帰属が確定していない状況にあります。このような財産は管理処分不適格財産に該当(相続税法施行令18条1項1号ロ)しますので、物納は認められません。
 したがって、相続財産の所有権の帰属が確定していない財産が物納申請された場合には、国の審査期間内において速やかに却下を行うこととなります。

(注) これまでの取扱いでは、物納申請財産に管理処分不適格となる事由が存する場合も、物納の許可までにその事由が解消できるときには、管理処分不適当財産に該当していないものとして物納の処理が進められていました。このため、協議分割が未了又は遺留分減殺請求中の財産が物納申請された場合には、補完整備事項として、その所有権の帰属の確定等を行うよう求める取扱いとしていました。
 しかし、今回の改正に伴い、物納申請された財産が管理処分不適格財産に該当する場合には、国の審査期間内において速やかに却下を行うこととなります。
 したがって、相続財産全体の協議分割に期間を要すると見込まれる場合には、物納申請する財産について先行して協議分割(一部確定)を行うなど、相続人間で相続税の納付方法について協議を行うことが必要です。