(回答)

  1. 国税は納期限まで又は納付すべき日に金銭により一時に納付していただくことが原則ですが、相続税については、納期限まで又は納付すべき日に延納によっても金銭で納付することが困難な事由がある場合には、その困難な金額を限度として、一定の相続財産により納付(「物納」といいます。)ができます。
  2. 物納が認められる金額は、「納付すべき相続税額」から、「納期限まで又は納付すべき日に金銭で納付することが可能な金額」及び「延納によって納付することができる金額」を控除した金額(「物納許可限度額」といいます。)の範囲内で認められます(相続税法施行令17条)。
  3. 「納期限まで又は納付すべき日に金銭で納付することが可能な金額」は、「納期限又は納付すべき日において有する現金、預貯金その他換価が容易な財産の価額に相当する金額」から「申請者及び生計を一にする配偶者その他の親族の3月分の生活費」と「申請者の事業の継続のために当面必要な運転資金の額」を控除して求めます。
     この現金・預貯金等及び換価の容易な財産には相続により取得したもののほか、申請者の固有の財産も含めて判断します。
  4. 「延納によって納付することができる金額」は、「納期限又は納付すべき日以後において見込まれる申請者の収入額」から「申請者及び生計を一にする配偶者その他の親族の生活費」と「申請者の事業の継続のために必要な運転資金の額」を控除して求めます。
     具体的には、申請者の確定申告書や源泉徴収票等から把握する年間の収入金額から、年間の生活費・年間の事業に要する経費を差引した額を年間の納付資力とみなし、この年間の納付資力に延納期間(年数)を乗じて求めたものに、おおむね1年以内の臨時的な収入・支出を加算・減算して延納によって納付することができる金額を求めることとしています。
  5. 実際の計算に当たっては、延納申請書の別紙又は物納申請書の別紙「金銭納付を困難とする理由書」に金額等を記入して計算してください。
     また、計算の根拠となった資料等は理由書に添付していただく必要があります。