(回答)

1 平成18年の税制改正により、相続税法の一部が改正され、平成18年4月1日から施行されました。
この相続税法の改正に伴う延納・物納に関する新たな取扱いについては、平成18年4月1日以後の相続開始により取得した財産に係る相続税及び平成19年1月1日以後に贈与により取得した財産に係る贈与税から適用されます。
今回の改正の概要は次のとおりです。

○ 平成18年度税制改正の概要(延納・物納関係)

1 物納制度

  • (1) 物納不適格財産の明確化等
    • イ 物納に充てることができない財産として、管理又は処分をするのに不適格な財産(物納不適格財産)を定める(相続税法第41条関係)。
    • ロ 物納の順位が優先される他の財産がある場合には物納に充てることができない財産(物納劣後財産)を定める(相続税法第41条関係)。
    • ハ 物納財産の性質、形状その他の特徴により、金銭による納付を困難とする額を超える価額の物納財産の収納を許可することができる(相続税法第41条関係)。
  • (2) 物納手続の整備等
    • イ 物納財産を国が収納するために必要な書類を物納申請時に提出する規定を整備する(相続税法第42条関係)。
    • ロ 提出された物納手続に必要な書類の記載に不備があった場合等には、税務署長は、当該書類の訂正等を申請者に求める旨の通知をする(相続税法第42条関係)。
      当該通知後20日以内に当該書類について申請者が訂正等をしなかった場合には、物納申請を取り下げたものとみなす(相続税法第42条関係)。
    • ハ 税務署長は、1年以内の期限を定めて、廃棄物の撤去その他の物納財産を収納するために必要な措置をとることを物納申請者に命ずることができる。
      この場合において、期限内に当該措置がとられなかった場合には、物納申請の却下をすることができる(相続税法第42条関係)。
    • ニ 物納手続に必要な書類の準備や廃棄物の撤去等の措置に時間を要する場合には、申請者の届出により、前記イ、ロ又はハに係る期限を、原則としてそれぞれ最長1年間延長することができる。
      ただし、一度の届出で延長できる期間は3月までとする(相続税法第42条関係)。
    • ホ 税務署長は、物納の許可をするに当たって、物納財産の性質に照らし必要があると認めるときは、当該許可に条件を付することができる。
      この場合において、税務署長が当該条件に則して5年以内に一定の事項の履行を求めた場合において当該一定の事項の履行がないときは、物納の許可を取り消すことができる(相続税法第42条、第48条関係)。
  • (3) 物納申請の許可に係る審査期間の法定等
    • イ 税務署長は、物納申請の許可又は却下を物納申請の期限から3月以内に行わなければならない。
       ただし、物納財産が多数となるなど調査に3月を超える期間を要すると認める場合には、審査期間を6月以内(積雪など特別な事情によるものについては、9月以内)とすることができる(相続税法第42条関係)。
    • ロ 物納手続に必要な書類の提出期限が申請者の届出により延長された場合(前記(2)ニ)、物納手続に必要な書類の訂正等の請求又は廃棄物の撤去等の措置の請求があった場合(前記(2)ロ及びハ)には、前記イの審査期間の特例を設ける(相続税法第42条関係)。
    • ハ 前記イからハの審査期間内に税務署長が物納の許可又は却下をしない場合には、当該物納の許可があったものとみなす(相続税法第42条関係)。
  • (4) 物納申請を却下された者の延納の申請
     延納による金銭での納付が困難でないこと等物納申請の全部又は一部が却下された場合には、申請者は、当該却下の日から20日以内に、延納の申請を行うことができる(相続税法第44条関係)。
  • (5) 物納申請を却下された者の再申請
     物納申請された財産が物納不適格財産又は物納劣後財産に該当することにより物納申請の却下がされた場合において、申請者は、当該却下の日から20日以内に、一度に限り物納の再申請をすることができる(相続税法第45条関係)。
  • (6) 延納中の物納の選択
     相続税を延納中の者が、資力の状況の変化等により延納による納付が困難となった場合には、相続税の申告期限から10年以内に限り、延納税額からその納期限の到来している分納税額を控除した残額のうち、一定の金額を限度として、物納を選択することができる制度を創設する(相続税法第48条の2関係)。
  • (7) その他所要の措置
    • イ 物納の撤回に係る規定を整備する(相続税法第46条関係)。
    • ロ 物納に係る納期限の翌日から納付が完了されるまでの間等の期間について利子税の負担を求める規定を整備する(相続税法第53条関係)。
    • ハ 利子税の計算規定の整備その他所要の措置を講ずる。

2 延納制度について、物納制度に準じた諸規定の整備を行う(相続税法第38条、第39条関係)。

【改正法附則】

前記1及び2の改正は、原則として平成18年4月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について適用し、前記2の改正は、原則として平成19年1月1日以後に贈与により取得した財産に係る贈与税について適用する(附則第59条関係)。