〜 広報活動や租税教育、税務相談などにより納税者サービスを充実 〜

 国税の多くは、納税者が自ら所得金額や税額を計算し、それに基づいて申告・納税するという申告納税制度を採用しています。この申告納税制度が適正に機能するためには、納税者に高い納税意識を持っていただくとともに、法律に定められた納税義務を自発的かつ適正に履行していただくことが必要です。
 このため、国税庁では、様々な広報活動を通じた情報提供や租税教育の充実、税務相談や確定申告における利便性向上など、納税者サービスの充実を図っています。

1 情報提供等

〜 様々な広報活動を実施 〜

 国税庁では、国税庁ホームページを中心に、テレビや新聞などのマスメディア、各種広報媒体や各種説明会を通じて、納税者の申告・納税等に役立つ様々な情報を提供しています。
 また、一般的な税法の解釈・取扱いについては、国税庁ホームページや税務署や市町村に設置したパンフレットなどで情報提供しているほか、税に関する一般的な質問・相談については、電話などで回答しています。さらに、実際の取引に係る税法上の取扱いが不明な場合には、事前照会に応じています。

税を考える週間

 国税庁では、日頃から国民の皆様に租税の意義や役割、税務行政の現状について、より深く理解して、自発的かつ適正に納税義務を履行していただくために納税意識の向上に向けた様々な取組を行っています。
 特に、毎年11月11日から11月17日までの1週間を「税を考える週間」とし、この期間を中心に様々な広報広聴施策を行うとともに、税務行政に対するご意見やご要望をお寄せいただく機会としています。
 こうした取組を通じて、国民の皆様に日常生活と税の関わりを理解していただくことは、申告納税制度の維持・発展に不可欠であると考えています。

(1)国税庁ホームページ

〜 ホームページによる分かりやすい情報提供 〜

 国税庁ホームページでは、誰でも必要な情報に容易にアクセスできるよう、案内メニューを1か所に集約したシンプルなレイアウトにするなど、分かりやすい情報提供に努めています。
 また、高齢の方や障害のある方を含めて、誰もが国税庁ホームページで提供される情報や機能を支障なく利用できるよう、文字拡大・音声読み上げ機能にも配慮したコンテンツを提供するように努めています。

国税庁ホームページの概要

※ 掲載画像は令和4(2022)年6月現在のものです。

国税庁ホームページの概要
  • ※ 国税庁ホームページ以外にも、Twitterの国税庁公式アカウント(@NTA_Japan)で、国税庁の新着情報や報道発表などの情報を発信しているほか、動画共有サイトYouTubeの「国税庁動画チャンネル」でも、国税庁の取組(各国税局や税務署における広報活動を含みます。)や申告手続をサポートする情報などの動画を配信しています。

(2)租税教育

〜 租税教育の充実に向け、環境整備や支援を実施 〜

 国税庁では、国の基本となる租税の意義や役割が正しく理解され、学校教育の中で租税教育の充実が図られるよう、環境整備や支援を行っています。
 具体的には、国レベルで設置された租税教育推進関係省庁等協議会(国税庁、総務省、文部科学省などで構成)において効果的な支援策を検討するとともに、各都道府県に設置された租税教育推進協議会(国税局・税務署、地方公共団体、教育関係者などで構成)を中心に、税理士会、関係民間団体等の協力を得て、学校からの要請に基づく租税教室等への講師派遣や税に関する作文の募集、税に関する各種イベントなどを行っています。
 また、学習指導要領の改正やGIGAスクール構想など、租税教育を取り巻く環境の変化を踏まえ、教育関係者などのニーズを的確に把握した上で、児童・生徒等が主体的・対話的に深い学びが実現できるよう、授業・教材づくりに努めています。
 さらに、最近では新型コロナウイルス感染症の影響がある中でも租税教育を実施できるよう、オンラインでの租税教室の開催など、ICTを活用した租税教育を積極的に実施しています。
 このほか、児童・徒等が自ら租税について学習できるコンテンツを国税庁ホームページ「税の学習コーナー」に掲載するほか、東京上野税務署内の租税教育用の施設「タックス☆スペースUENO」において、「税務署見学」や「体験学習」を実施しています。

租税教室の様子
租税教室の様子
租税教室等への講師派遣状況
  令和2年度 令和3年度
職員 5,359人 7,193人
職員以外 17,482人 25,534人
合計 22,841人 32,727人
  • ※ 大学、専修学校に対する講師派遣を含んでいます。
税に関するイベントの模様(書道パフォーマンス)
税に関するイベントの模様(書道パフォーマンス)
税の作文の応募編数
  令和2年度 令和3年度
高校生 160,184編 178,807編
中学生 313,725編 450,142編

租税史料室による税知識の普及活動

 税務大学校の租税史料室では、日本の税に関する貴重な歴史的資料を収集・管理するとともに、1年を通じて数多くの所蔵史料を公開し、租税史研究に携わる専門家のみならず、小学生から社会人まで広く一般の方々にもご利用いただいています。
 また、毎年テーマを決めて「特別展示」を実施しています。
 今年のテーマは「庁舎にみる税務署の歴史」と題して、令和3(2021)年11月1日から令和4(2022)年10月31日まで行っています。
 詳しくは、国税庁ホームページの「税務大学校租税史料コーナー」をご覧ください。

租税史料室
租税史料室

(3)講演会

〜 納税意識の向上に向けた税の啓発活動 〜

 納税者自らが租税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解し主体的に考えることは、納税に対する納得感の醸成に繋がります。このため、納税意識の向上を図ることを目的として、国税局や税務署による主に大学生や社会人を対象とした講演会を開催しています。

社会人を対象とした講演会の開催回数
  令和2年度 令和3年度
開催回数 632回 758回

(4)説明会

〜 情報提供を行うための様々な説明会を開催 〜

 税に関する手続や税制改正などについて、納税者に理解を深めていただくため、確定申告に関する各種説明会、改正税法に関する説明会、新設法人のための説明会など、様々な説明会を開催しています。

各種説明会の開催回数・参加人員
  令和元事務年度 令和2事務年度
開催回数 31,706回 7,990回
参加人員 1,142千人 224千人

(5)税務相談

〜 税務相談は電話相談センターで対応 〜

 国税に関する制度や法令等の解釈・適用についての質問・相談は、各国税局に設置する電話相談センターで受け付けています。
 また、国税庁ホームページでは、よくある税の質問に対する一般的な回答を掲載した「タックスアンサー」による情報提供を行っています。

電話相談センターの相談件数

グラフ。
平成26年度は529万件。 平成27年度は535万件。 平成28年度は568万件。
平成29年度は557万件。 平成30年度は544万件。 令和元年度は511万件。
令和2年度は582万件。 令和3年度は557万件。

タックスアンサーへのアクセス件数

グラフ。
平成26年度は7,290万件。 平成27年度は6,997万件。 平成28年度は7,494万件。
平成29年度は8,666万件。 平成30年度は5,822万件。 令和元年度は7,368万件。
令和2年度は7,875万件。 令和3年度は8,908万件。

〜 チャットボットによる税務相談 〜

 土日・夜間など、日時によらず、24時間いつでも税に関する相談ができる「税務相談チャットボット」を国税庁ホームページに導入しています。
 チャットボットの導入により、税に関する疑問について気軽に質問できたり、国税庁ホームページに掲載されている情報へ短時間でたどり着くことができるようになりました。
 今後も、相談内容の充実を図るとともに、より便利に使いやすくなるよう改善していきます。

チャットボットへの質問件数(暦年)
  令和2年 令和3年 令和4年
確定申告 40万件 434万件 595万件
年末調整 25万件 49万件
  • ※1 各年、1月4日から12月28日までの相談件数を示しています。なお、「令和4年」は、令和4年5月31日現在の件数を示しています。
  • ※2 令和4年の年末調整については、10月上旬相談開始予定です。
24時間、いつでもチャットボットによる相談を受け付けています。

〜 電話での回答が困難な税務相談は事前予約の上、税務署で対応 〜

 具体的に書類や事実関係を確認する必要がある場合など、電話での回答が困難な相談内容については、所轄の税務署において面接にて相談を受け付けています。
 なお、面接相談は、面接時間を十分に確保するほか、ご持参いただく書類などをお伝えする必要があることから電話等で事前に相談日時等をご予約いただいています。

(6)事前照会

〜 納税者の予測可能性を向上 〜

 税務署などにおいては、納税者が実際に行う取引等に係る税務上の取扱いに関して、取引前又は申告期限前の照会(事前照会)に応じ回答しています。
 このうち、文書による回答の求めがあった場合で一定の要件を満たすものについては文書による回答を行い、その内容を国税庁ホームページ「文書回答事例」において公表しています。
 このほか、事前照会に対する回答のうち、他の納税者の参考となる回答事例についても国税庁ホームページ「質疑応答事例」に掲載しています。

文書回答手続による事前照会の受付件数
  令和2年度 令和3年度
受付件数 115件 117件
質疑応答事例のホームページへの掲載件数
  令和2年度末 令和3年度末
掲載件数 1,985件 1,991件

《コラム2》新型コロナウイルス感染症に関する国税庁の対応(令和4(2022)年5月31日現在)

 新型コロナウイルス感染症については、令和2(2020)年1月に日本国内で初めての感染者が確認されて以降、感染拡大の状況に応じて、政府において様々な感染症対策や経済対策などの措置が行われているところです。
 国税庁においては、申告相談や税務調査等の納税者等と対面によって応対する場合には、手洗い・マスク着用等の感染防止策と咳や発熱等の症状のある者による応対の禁止を徹底し、感染拡大防止に努めています。また、税務調査等については、納税者等の状況に即した対応を心掛け、理解と協力を得た上で実施しています。
 新型コロナウイルス感染症に関する国税庁の対応や取組については、ホームページによる周知・広報のほか、報道発表、Twitterなど、様々な手段を活用し、また関係民間団体等や地方公共団体を通じて、幅広く速やかな情報発信を行ってきました。また、税務上の取扱いに関して、よくある質問への回答(FAQ)のホームページ掲載、動画による情報提供など、わかりやすい情報の発信にも努めてきたところです。
 国民の皆様には、引き続き、感染拡大防止にご理解とご協力をお願いします。

1 所得税等の確定申告の取組
 確定申告会場には、多数の方が申告相談に訪れることから、令和3(2021)年分確定申告においては、自宅等から申告できるe-Taxの利用を従来以上に呼び掛けるとともに、確定申告期間よりも前から申告相談を受け付けるなど、確定申告期間中の来場者数の削減・分散を図りました。
 また、令和2(2020)年分に引き続き、会場内の感染症対策を徹底するため、入場には整理券(オンラインによる事前発行も可能)を必要とする仕組みを全国で実施しました。その上で、来場時のマスク着用や検温などへのご協力をお願いし、安心して確定申告会場をご利用いただけるよう環境整備を行いました。
 なお、オミクロン株による感染の急速な拡大状況を踏まえ、令和3(2021)年分の確定申告につき、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4(2022)年4月15日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長を申請することができるようにしました。

  • * 法人税や法人の消費税、源泉所得税、相続税、酒税などについても、令和4(2022)年1月以降に申告等の法定期限を迎える手続を対象として、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4(2022)年4月15日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長を申請することができるようにしました。

2 納税が困難な方への対応
 新型コロナウイルス感染症の影響により、資金繰りが悪化するなどして納税が困難な方については、納税者の置かれた状況や心情に配慮して納付の猶予制度を迅速かつ柔軟に適用してきました。
 猶予制度については、税務署の窓口や確定申告会場での制度説明、国税庁ホームページや税理士会、関係民間団体や業界団体を通じた周知・広報など、様々なチャネルで納税者にアプローチすることにより、必要な方が早期に猶予を受けられるように努めています。
 また、税務署においては、猶予制度に関する質問や相談を電話で受け付けるとともに、猶予申請については、e-Taxによる電子申請や郵送による申請を推奨しています。

3 酒類事業者に関する取組
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により酒類消費が低迷している酒類業界を支援するため、官民を挙げて酒類の国内消費回復・拡大に向けたプロモーション(地域での消費者向けイベント等)を展開したほか、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、酒類事業者の経営改革、酒類業界の構造転換支援に取り組むこととしています。こうした取組や政府が行っている事業者の方への支援策について、必要な情報の提供に努めています。詳しくは、国税庁ホームページをご覧ください。