2 国税庁の取組

〜 酒類業の振興 〜

 国税庁では、酒類業界の現状や課題等を踏まえ、国内外の酒類市場の拡大を図り、酒類業の更なる振興、健全な発達につながるよう取り組んでいます。

(1)海外市場の開拓(輸出促進)

 「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(令和2(2020)年12月農林水産業・地域の活力創造本部決定)において、酒類のうち、清酒、ウイスキー、本格焼酎・泡盛の3品目を輸出重点品目と位置づけ、品目ごとのターゲット国、輸出目標等を定めました。この目標の達成に向け、これら重点3品目をはじめ、販路開拓支援や認知度向上などに取り組んでいます。

イ 販路開拓支援

 日本産酒類の販路を一層拡大するため、海外の大規模展示会でジャパンパビリオンとして日本産酒類を出展しました。また、酒類輸出コーディネーターを通じて発掘した海外バイヤーとの商談会を開催しました。

ロ 認知度向上

 ジャパンハウスにおける日本産酒類のプロモーションの実施や、海外の酒類専門家を酒蔵へ招へいしました。
 また、酒類事業者の酒蔵自体の観光化や地域での酒蔵ツーリズムプランの企画に向けた取組を、「日本産酒類海外展開支援事業費補助金」(海外展開・酒蔵ツーリズム補助金)により支援しています。

ハ 補助金による商品の高付加価値化・差別化の支援

 酒類事業者による日本産酒類の高付加価値化に向けた取組を、「日本産酒類海外展開支援事業費補助金」(海外展開・酒蔵ツーリズム補助金)【再掲】により支援しています。
 また、酒類事業者が直面する国内需要の減少などの構造的課題等を解決するため、酒類事業者による国内外の新市場を開拓等する意欲的な取組を、「新市場開拓支援事業費補助金」(フロンティア補助金)により支援しています。

ニ ブランド価値向上のための地理的表示(GI)1 普及拡大

 国内外における酒類のブランド価値向上等の観点から、GI指定や普及拡大に取り組んでいます(最新の指定状況は、国税庁ホームページの「酒類の地理的表示一覧等」をご覧ください。)。パンフレット作成のほか、セミナー等のイベントを開催しています。

  • 1 地理的表示(GI:Geographical Indication)制度は、酒類や農産品について、ある特定の産地ならではの特性(品質、社会的評価等)が確立されている場合に、当該産地内で生産され、一定の生産基準を満たした商品だけが、その産地名(地域ブランド名)を独占的に名乗ることができる制度です。

ホ 輸出促進法に基づく品目団体の認定

 輸出促進法に基づき、清酒(日本酒)、本格焼酎・泡盛の「品目団体」として、令和4(2022)年12 月に日本酒造組合中央会を認定しました。

へ 関税や輸入規制の撤廃等の国際交渉

 日本の酒類事業者の更なる輸出環境整備のため、国際交渉において、関税や輸入規制等の撤廃、GIの保護、有機酒類の同等性締結に向けた協議を行っています。
 また、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を起因とした各国の輸入規制については、引き続き撤廃を求めていきます。

(2)日本酒、焼酎・泡盛等のユネスコ無形文化遺産への登録に向けた取組

 文化庁や「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」等と連携して、日本酒等の伝統的な酒造り技術の保護・継承及びユネスコ無形文化遺産への登録に向けた取組を実施しています。
 この技術は、令和3(2021)年12 月に「伝統的酒造り」として登録無形文化財に登録された後、令和4(2022)年3月にユネスコへ提案されています(令和5(2023)年3月に再提案されています。)。

(3)技術支援

イ 醸造技術等の普及の推進

 各国税局には、技術部門として鑑定官室(沖縄国税事務所主任鑑定官を含みます。)を設置しており、酒類製造者への指導や相談対応、鑑評会や研究会等の開催、酒造組合の講習会等への職員派遣などを通じ、酒類総合研究所の研究成果をはじめ、先端技術などの普及を推進しています。

ロ 酒類の品質及び安全性に関する支援

 酒類の生産から消費までの全ての段階における酒類の安全性の確保と品質水準の向上を図ることを目的として、酒類の製造工程の改善などに関する技術指導を行っているほか、酒類の放射性物質に関する調査・情報提供などにより安全性を確認しています。

ハ 酒類総合研究所の取組

 酒類総合研究所は、酒類業振興の技術基盤を担う機関として、日本産酒類のブランド価値向上や酒類製造の技術基盤の強化等のための研究を行うとともに、酒類醸造講習等の酒類業界の人材育成に係る取組やアウトリーチ活動等を積極的に実施しています。

(4)中小企業対策

 中小企業が大半を占める酒類業界が社会経済情勢の変化に適切に対応できるよう、日本酒造組合中央会の近代化事業をはじめ、業界団体の各種の取組を支援しています。また、関係省庁・機関や地方自治体等と連携しつつ、政府の中小企業向け施策(相談窓口、補助金、税制、融資等)について、事業者や業界団体に情報を提供し、活用の促進に取り組んでいます。

(5)酒類の公正な取引環境の整備

 「酒類の公正な取引に関する基準2」等の周知・啓発や、酒類の取引状況等実態調査の実施により、公正取引の確保を推進しています。同基準については、平成29(2017)年6 月の施行後の調査結果などを踏まえ、令和4(2022)年3月に改正しました(同年6月施行)。

  • 2 酒類に関する公正な取引につき、全ての酒類事業者(製造・卸・小売)が遵守しなければならない必要な基準であり、1酒類を正当な理由なく継続して総販売原価を下回る価格で販売し、かつ、2自己又は他の酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある取引を行ってはならないこととされています。

(6)社会的要請への対応

イ 資源リサイクル等の推進

 ビール業界では「地球温暖化対策計画」(令和3(2021)年10月閣議決定)に基づき策定した「低炭素社会実行計画」に取り組んでおり、国税審議会酒類分科会において、これらの取組を評価・検証しています。

ロ 20歳未満の者の飲酒防止対策

 20 歳未満の者の飲酒防止に向け、啓発ポスターやパンフレットを作成するほか、毎年4 月を「20歳未満飲酒防止強調月間」と定め、関係省庁・業界団体と連携した啓発活動を行っています。

ハ アルコール健康障害対策

 アルコール健康障害対策基本法(平成26(2014)年6月施行)に基づき策定された第2期の「アルコール健康障害対策推進基本計画」(令和3(2021)年4月〜令和8(2026)年3月)などを踏まえ、関係省庁、酒類業団体とも連携・協力しながら、20歳未満の者の飲酒防止対策やアルコール健康障害の発生防止等に向けた取組を推進しています。