〜 広報活動や租税教育、税務相談などにより納税者サービスを充実 〜
国税の多くは、納税者が自ら所得金額や税額を計算し、それに基づいて申告し、納税するという申告納税制度を採用しています。この申告納税制度が適正に機能するためには、納税者に高い納税意識を持っていただくとともに、法律に定められた納税義務を自発的かつ適正に履行していただくこと(いわゆる「税務コンプライアンス1」)が必要です。
このため、国税庁では、税理士会や関係民間団体などと連携・協調を図り、租税の意義・役割や税法の知識等についての広報活動や租税教育、法令の解釈や取扱い・手続等の明確化、受付窓口の一本化、税務相談、確定申告における利便性の向上など、様々な納税者サービスの充実を図っています。
〜 様々な広報活動を実施 〜
国税庁では、納税者の申告・納税等に役立つ情報を提供しています。
具体的には、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp)を中心に、テレビや新聞などのマスメディア、税務署や市区町村に設置したパンフレットなどの各種広報媒体や各種説明会を通じて、租税の意義や役割、税の仕組みなどの様々な情報を提供しています(令和2(2020)年度アクセス件数3億1,827万件)。
また、一般的な税法の解釈・取扱いについて国税庁ホームページなどを通じて情報提供しているほか、税に関する一般的な質問・相談について、電話などで回答しています。さらに、実際の取引に係る税法上の取扱いが不明な場合には、事前照会に応じています。
国税庁では、日頃から国民の皆様に租税の意義、役割や税務行政の現状について、より深く理解して、自発的かつ適正に納税義務を履行していただくために納税意識の向上に向けた様々な取組を行っています。
特に、毎年11月11日から11月17日までの1週間を「税を考える週間」とし、この期間を中心に様々な広報広聴施策を行うとともに、税務行政に対するご意見やご要望をお寄せいただく機会としています。
こうした取組を通じて、国民の皆様に日常生活と税の関わりを理解していただくことは、申告納税制度の維持・発展に不可欠であると考えています。
〜 ホームページによる分かりやすい情報提供 〜
国税庁ホームページでは、誰でも必要な情報に容易にアクセスできるよう、案内メニューを1か所に集約したシンプルなレイアウトにするなど、分かりやすい情報提供に努めています。
また、高齢の方や障害のある方を含めて、誰もが国税庁ホームページで提供される情報や機能を支障なく利用できるよう、文字拡大・音声読み上げ機能にも配慮したコンテンツを提供するように努めています。
なお、閲覧端末の画面サイズに合わせて、自動的に表示を調整する機能(レスポンシブWebデザイン)により、スマートフォンやタブレットからも快適にご覧いただけます。
※ 掲載画像は令和3(2021)年6月現在のものです。
〜 租税教育の充実に向け、環境整備や支援を実施 〜
国税庁では、国の基本となる租税の意義や役割が正しく理解され、学校教育の中で租税教育の充実が図られるよう、環境整備や支援を行っています。
具体的には、国レベルで設置された租税教育推進関係省庁等協議会(国税庁、総務省、文部科学省などで構成)において効果的な支援策を検討するとともに、各都道府県に設置された租税教育推進協議会(国税局・税務署、地方公共団体、教育関係者などで構成)を中心に、広く税理士会、関係民間団体等の協力を得て、学校からの要請に基づく租税教室等への講師派遣や作文募集などを行っています。税に関する作文については、例年多くの応募をいただいており、優秀賞の表彰や作文朗読会等を実施しています。
また、学習指導要領の改正、主権者教育2の重要性の高まりなど、租税教育を取り巻く環境の変化を踏まえ、教育関係者などのニーズを的確に把握した上で、関係機関と連携を図り、児童・生徒等が主体的・対話的に考察し、深い学びが実現できるよう、授業・教材づくりに努めています。
なお、児童・生徒等が自ら租税の意義や役割を学習できるよう国税庁ホームページに「税の学習コーナー」(https://www.nta.go.jp/taxes/kids/)を設けています。
このほか、東京上野税務署内の租税教育用の施設「タックス☆スペースUENO」では、「税務署見学」や「体験学習」などを実施しています。詳しくは、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/education/taiken/01.htm)をご覧ください。
令和元年度 | 令和2年度 | |
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職員 | 8,770人 | 5,359人 |
職員以外 | 35,297人 | 17,482人 |
合計 | 44,067人 | 22,841人 |
令和元年度 | 令和2年度 | |
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高校生 | 214,421編 | 160,184編 |
中学生 | 578,204編 | 313,725編 |
税務大学校の租税史料室では、日本の税に関する貴重な歴史的資料を収集・管理するとともに、1年を通じて数多くの所蔵史料を公開し、租税史研究に携わる専門家のみならず、小学生から社会人まで広く一般の方々にもご利用いただいています。
また、毎年テーマを決めて「特別展示」を実施しています。
今年のテーマは「審査請求制度の変遷」と題して、令和2(2020)年10月1日から令和3(2021)年9月29日まで行っています。
詳しくは、国税庁ホームページの税務大学校租税史料コーナー(https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/index.htm)をご覧ください。
〜 納税意識の向上に向けた税の啓発活動 〜
申告納税制度の下、自らが租税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解し主体的に考えることによる納税に対する納得感の醸成に向けた、納税意識の向上を図ることを目的として、国税局や税務署による主に大学生や社会人を対象とした講演会を開催しています。
令和元年度 | 令和2年度 | |
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開催回数 | 1,810回 | 632回 |
〜 情報提供を行うための様々な説明会を開催 〜
税に関する手続や税制改正などについて、納税者に理解を深めていただくため、確定申告に関する各種説明会、改正税法に関する説明会、新設法人のための説明会など、様々な説明会を開催しています。
平成30事務年度 | 令和元事務年度 | |
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開催回数 | 46,750回 | 31,706回 |
参加人員 | 1,772千人 | 1,142千人 |
〜 一般的な税務相談は電話相談センターで集中的に対応 〜
国税に関する一般的な質問・相談は、各国税局に設置する電話相談センターにおいて、国税局の職員が集中的に受け付けています。東京、名古屋、大阪の各国税局の電話相談センターでは、英語での税務相談も受け付けています。
また、国税庁ホームページでは、よくある税の質問に対する一般的な回答を掲載した「タックスアンサー」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/index2.htm)により情報提供を行っています。
電話相談センターの相談件数及びタックスアンサーへのアクセス件数
〜 個別・具体的な税務相談は事前予約の上、税務署で対応 〜
具体的に書類や事実関係を確認する必要がある場合など、電話での回答が困難な相談内容については、所轄の税務署において面接にて相談を受け付けています。
なお、面接相談は、納税者の皆様に分かりやすく説明するために十分な面接時間を設ける必要があることから、電話等で事前に相談日時等をご予約いただいています。
土日・夜間など、日時によらず、24時間いつでも税に関する相談ができる「税務相談チャットボット」を令和2(2020)年度から国税庁ホームページに導入しています。
1 チャットボットとは
「チャットボット」とは、「チャット」と「ロボット」を組み合わせた言葉でAI(人工知能)を活用した会話プログラムをいいます。税に関する質問をメニューから選択するか、自由に文字入力することにより、AIを活用して自動回答します。
2 税務相談チャットボットをご利用いただくと
税務相談チャットボットをご利用いただくことにより、税に関する疑問を日時によらず気軽に質問できたり、国税庁ホームページに掲載されている情報へ、より短時間でたどり着くことができます。
3 使いやすく便利に
今後も、利用者の方からいただいたご意見・ご感想やAIの学習を通じて、より使いやすく便利に改善していきます。
令和元年分 確定申告 |
令和2年分 年末調整 |
令和2年分 確定申告 |
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質問件数 | 37万件 | 25万件 | 420万件 |
〜 納税者の予測可能性を向上 〜
税務署などにおいては、納税者が実際に行う取引等に関して税務上の取扱いが明らかでない事項について、取引前又は申告期限前の照会(事前照会)に応じ回答しています。
この事前照会のうち、文書による回答の求めがあった場合で一定の要件を満たすものについては文書による回答を行い、その照会・回答内容を国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/01.htm)において公表しています。
令和元年度 | 令和2年度 | |
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受付件数 | 115件 | 115件 |
令和元年度末 | 令和2年度末 | |
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掲載件数 | 1,968件 | 1,985件 |
また、文書による回答事例のほか、事前照会に対する回答のうち、他の納税者の参考となるものについても、質疑応答事例として国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/01.htm)に掲載しています。
令和2年7月豪雨により被害を受けた地域を対象として、国税に関する申告・納付等の期限を延長する措置を講じました。
また、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の期間が令和2年分所得税の確定申告期間と重なることを踏まえ、十分な申告期間を確保して確定申告会場の混雑回避の徹底を図る観点から、申告所得税等の確定申告の申告・納付期限を一律延長することとしました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方への納税の猶予制度の案内をしています。詳しくは、コラム3をご覧ください。
災害などにより被害を受けられた方への対応に当たっては、引き続き、被害を受けられた方の状況や心情に十分配慮し、制度の周知や照会、相談などの対応を行います。
災害により被害を受けた場合の主な制度
災害に関する税制上の措置などの周知
災害により被害を受けられた方の税制上の措置(手続)などについては、災害発生後速やかに、パンフレットや国税庁ホームページ、Twitterなどを通じて周知・広報を行っています。
なお、手続の詳細や上記以外の災害に関する税制上の措置については、国税庁ホームページの「災害関連情報」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/index.htm)をご覧ください。
新型コロナウイルス感染症については、令和2(2020)年1月に日本国内で初めての感染者が確認されて以降、感染拡大の状況に応じて、政府において様々な感染症対策や経済対策などの措置が行われているところです。
国税庁においては、申告相談や税務調査等の納税者等と対面によって応対する場合には、手洗い・うがい・マスク着用等の感染防止策と咳や発熱等の症状のある者による応対の禁止を徹底し、感染拡大防止に努めています。
新型コロナウイルス感染症に関する国税庁の対応や取組については、ホームページによる周知・広報のほか、報道発表、新聞・テレビ・インターネットによる広告、Twitterやメールマガジンなど、様々な手段を活用して速やかな情報発信を行うとともに、関係民間団体等や地方公共団体を通じて、幅広く周知・広報を行っています。
国民の皆様には、引き続き、感染拡大防止に御理解と御協力をお願いします。
1 所得税等の確定申告の取組
税務署等の確定申告会場には、連日、多数の方が申告相談に訪れることから、令和2(2020)年分確定申告においては、外出をせずともスマートフォン等から申告できるe-Taxの利用を従来以上に呼び掛けるとともに、公的年金を受給されている方を主な対象として令和3(2021)年2月16日よりも前から申告相談を受け付けるなど、確定申告期間中の来場者数の削減・分散を図りました。
また、確定申告会場のレイアウトを大幅に見直してソーシャルディスタンスを確実に確保するとともに、会場内の混雑回避を徹底するために、会場への入場には、入場できる時間を指定した整理券(オンラインによる事前発行も可能)を必要とする仕組みを全国で実施しました。その上で、来場者にマスク着用をお願いするとともに、検温を実施し発熱等がある方については後日の来場をお願いするといった感染予防への協力をお願いし、申告相談を必要とする方々に安心して確定申告会場をご利用いただけるような環境整備を行いました。
なお、令和3(2021)年2月2日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の期間が令和2年分所得税の確定申告期間(令和3(2021)年2月16日〜3月15日)と重なることを踏まえ、十分な申告期間を確保して確定申告会場の混雑回避の徹底を図るため、令和2(2020)年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告期限・納付期限について同年4月15日(木)まで延長することとしました。これに伴い、申告所得税及び個人事業者の消費税の振替納税を利用されている方の振替日についても、申告所得税は同年5月31日(月)、消費税については同年5月24日(月)にそれぞれ延長しました。
2 法人税・相続税・酒税などの申告・納付期限に関する取組
法人税や法人の消費税、源泉所得税、相続税、酒税などについては、上記1の延長の対象ではありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、その期限までに申告・納付ができないやむを得ない事情がある場合には、個別の申請により延長が認められます。
3 納税が難しい方への対応
新型コロナウイルス感染症の影響により、資金繰りが悪化するなどして納税が難しい方については、納税者の置かれた状況や心情に配慮して、令和2(2020)年4月30日に成立・施行した「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」により創設された「納税の猶予の特例(特例猶予)」などの猶予制度を迅速かつ柔軟に適用してきました。
令和2年4月〜 令和3年2月(※1、※2) |
(参考)既存の猶予制度 平成30事務年度(※3) |
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適用件数 | 322,801件 | 41,871件 |
適用税額 | 1,517,647百万円 | 69,487百万円 |
特例猶予の申請期限は令和3(2021)年2月1日に終了しましたが、申請期限が過ぎた後においても、既存の猶予制度を活用できるよう税務署の窓口や確定申告会場での制度説明、国税庁ホームページや税理士会、関係民間団体や業界団体を通じた周知・広報など、様々なチャネルで納税者にアプローチすることにより、必要な方が早期に猶予を受けられるように努めています。
また、税務署の窓口混雑を防止するため、各国税局に「国税局猶予相談センター」を設置し、猶予制度に関する質問や相談を電話で受け付けるとともに、猶予申請は、e-Taxによる電子申請や郵送による申請を推奨しています。
なお、国税庁ホームページにおいて、猶予制度の詳細や申請方法を説明したYouTube動画等についてご案内しています。
詳しくは、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm)をご覧ください。
上記1〜3の取扱いについては、よくある質問(FAQ)にまとめて、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/index.htm)に掲載して、周知を行っています。
4 酒類事業者に関する取組
酒類業の事業所管官庁として、酒類事業者の方々向けに、以下の取組を実施しました。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により酒類消費が低迷している酒類業界を支援するため、官民を挙げて酒類の国内消費回復・拡大に向けたプロモーション(地域での消費者向けイベント等)を展開したほか、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、酒類事業者の経営改革、酒類業界の構造転換支援に取り組むこととしています。
こうした取組や政府が行っている事業者の方への支援策について、必要な情報の提供に努めています。詳しくは、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/kansensho/index.htm)をご覧ください。