松田 直樹
前税務大学校
研究部教授
近年、主な欧米諸国等では、国際的な事業活動に係る障壁を除去する流れが加速する中、法人の事業・資産等の国外移転によって、自国の課税ベースが浸食されるという問題がかなり深刻化してきている。法人資産等の国外移転の手法・形態は様々であるが、大別すると、(@)国際的組織・事業再編成によるものと、(A)国際的組織・事業再編成を伴わない譲渡等によるものがあり得ると考えられる。我が国でも、新会社法の成立に伴う合併等対価の柔軟化により、国境を跨ぐ三角合併が可能となり、平成21年度税制改正により法人税法23条の2(外国子会社から受ける配当等の益金不算入)が創設され、また、平成22年度税制改正による租税特別措置法66条の6(内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象金額の益金算入)の改正などを背景として、上記(@)や(A)の手法・形態による法人資産等の国外移転が、今後、更に活発化し、課税ベースの侵食が進展することも想定される。
確かに、上記(@)(国際的組織・事業再編成)という手法に対しては、租税特別措置法40条の7(特殊関係株主等である居住者に係る特定外国法人の課税対象金額の総収入金額算入)及び同法66条の9の2(特殊関係株主等である内国法人に係る特定外国法人の課税対象金額の益金算入)等が、国境を跨ぐ三角合併による外国子会社合算税制の適用逃れを阻止する機能を発揮し、
租税特別措置法68条の2の3(適格合併等の範囲に関する特例)が、三角合併を利用した一定の国際的租税回避等については、適格要件を満たさない合併として株式譲渡益の課税繰延べを否定し、
法人税法132条の2が、組織再編成に係る行為又は計算の否認規定として機能する。また、上記(A)(国際的組織・事業再編成を伴わない譲渡等)の手法による法人資産等の国外移転に対しては、租税特別措置法66条の4(国外関連者との取引に係る課税の特例)の下、移転価格税制の適用や寄付金課税(全額損金不算入)が可能となっている。
しかし、国際投資等を促進するという動きが年々活発化する中、上記の措置等に代表される対抗策については、我が国の課税権を担保する上で十分なものとなっているのかとの疑問も生じ得る。実際、主な諸外国に目を向けると、自国の課税ベースの浸食を阻止するとの観点から、近年、上記(@)(国際的組織・事業再編成)の手法及び(A)(国際的組織・事業再編成を伴わない譲渡等)の手法による法人資産等の国外移転という問題に対し、より効果的に対処し得る措置を有する国々の存在を確認することができる。本研究は、このような対抗措置の中でも、特に、米国のIRC§367(「外国法人」)、コーポレイト・インバージョン対策税制であるIRC§4847(「国籍を離脱した事業体とその外国親会社に関するルール」)及び少なからぬ欧州諸国等で採用されている法人に対する出国税(“exit tax”)等に目を向け、我が国の課税権の確保に資する税制の構築に向けた示唆を探ることを主な目的とするものである。
1.欧米における動向
(1)主な欧州諸国の対抗措置と最近の動き
法人資産等の国外移転による課税ベースの浸食の程度は、そもそも、法人居住性の判定基準として、どのようなものが採用されているのかに少なからず左右される。法人居住性の主な判定基準としては、設立準拠地主義と実質管理地主義があり、特に、実質管理地主義は、軽課税国での法人登録や法人登録地の変更などを利用した税負担の軽減への対応に優れており、多くの欧州諸国でも採用されているが、近年、欧州では、一連の欧州委員会指令や「欧州会社法に関する欧州理事会規則」の制定等によって、法人の居住地や管理支配権限等の国外移転に係る障壁を除去する流れが加速する中、例えば、Inspire Art 事件ECJ判決(Case C-167/01)では、税負担軽減を狙って法人の登録地と事業活動を行う国を分けて選択した行為が、濫用的な行為ではなく、EC条約等が認める設立の自由の権利の行使であると判示されたことなどを受けて、実質管理地主義が終焉に向かうことも想定されるようになってきている。
上記のような流れ・方向性は、多くのEU加盟国が、納税者の居住地等の国外移転による自国の課税ベースの浸食を防止するなどの観点から採用している出国税と欧州法との関係にも影響を与えている。個人に対する出国税(狭義の出国税)の多くは、自国の納税者である個人が居住地を国外に移転する際、納税者の資産の含み益が実現したものとして課税するという制度設計を採用しているところ、Hughes de Lasteryie事件ECJ判決(Case C-9/02)では、このような制度設計に依拠するフランスの出国税が欧州法に抵触すると判示されたため、法人に対する出国税も同様な問題を包含しているとの見方が強まったが、Cartesio事件ECJ判決(Case C-210/06)では、法人の管理支配地等の国外移転に際し、国内での移転のケースでは生じない税負担を課する法人に対する出国税は、個人に対する出国税とは異なるという点が強調され、また、実質管理地主義がEC条約に抵触するとも断定されなかった。
したがって、自国の課税ベースの浸食を防止する手段としての法人に対する出国税の有用性は、依然として高いと考えられるが、最近では、法人の出国税の機能拡充やその適用範囲の拡大などに繋がる措置を新たに講じるとの動きを示す加盟国も見受けられる。これらの措置は、「管轄アプローチ」に立脚するものと、「実現アプローチ」に立脚するものに大別できる。国外源泉所得等にまで自国の課税権を拡張するのが「管轄アプローチ」(広義には、CFC税制等が依拠する「合算アプローチ」も含む。)であり、本アプローチは、例えば、2006年に措置されたイタリアのコーポレイト・インバージョン対策税制である法人税法73条5項で採用されている。「実現アプローチ」に依拠する制度の代表例としては、2008年に手当てされたドイツの「対外取引課税法」1条3項や2009年に措置されたノルウェーの新たな出国税制度が挙げられる。
(2)米国の対抗措置と最近の動き
米国では、我が国と同様に、法人居住性の判定基準としては、設立準拠地主義が採用されており、しかも、多様な形態による国際的組織再編成が可能となっているが、法人資産等の国外移転による課税ベースの浸食を防止するために、「実現アプローチ」と「管轄アプローチ」の双方に依拠する措置が講じられている。「実現アプローチ」に依拠する措置の代表例としては、「(国外移転に係る)通行税」(“(outbound)toll charge”)とも称されているIRC§367(「外国会社」)が挙げられる。米国では、一定の条件を満たす組織再編成に対してキャピタル・ゲイン課税の繰延べが認められているが、本規定の下では、原則として、国際的組織再編成が一定の基準(資産の属性、株式保有割合及び利用形態等に関するテスト)をクリアーするものでない限り、米国の株主や法人レベルで譲渡益が発生したものとみなしてキャピタル・ゲイン課税が行われる。
確かに、IRC§367は、法人資産等の国外移転による課税ベースの侵食を阻止する上で一定の効果を発揮したが、コーポレイト・インバージョンが惹起する問題に十分に対処できないとの認識が高まり、2004年、IRC§7874(「国外移転した事業体とその外国親会社」)が措置された。本規定は、「管轄アプローチ」と「実現アプローチ」の双方を組み込んだものとなっている。本規定が立脚する「管轄アプローチ」の下では、米国の内国法人が、米国外で設立された新設親法人の子会社になり、又は資産の殆ど全てを当該外国法人に直接又は間接に移転を行うことなどにより、米国内国法人の株主が、コーポレイト・インバージョンの後、新設外国親法人株式の議決権又は価値の80%以上を保有することとなり、しかも、新設外国親法人が、その設立国で相当程度の事業活動を行っていないと判断されれば、当該新設外国親法人は、米国の税法上、国内法人として取り扱われることとなる。
米国のIRC§7874が「管轄アプローチ」を組み込んだ制度設計に依拠しているのに対し、我が国のコーポレイト・インバージョン対策税制は、「実現アプローチ」と「合算アプローチ」に立脚する制度設計を採用している。このように両国の制度の設計が異なっている背景には、米国では、コーポレイト・インバージョンによって、CFC(被支配外国会社)制度の適用がなくなるケースが生じるという問題よりは、むしろ、インバージョンの後、所得の外国親会社への移転などを通じて米国の内国法人の利益剥しが行われることによって、米国の課税ベースが侵食されるという点が特に問題視されているという事実がある。しかも、最近では、IRC§7874の機能を強化する2009年財務省規則が制定されたほか、実質管理地主義の採用を提唱する学者(アビヨナ教授等)やその立法化を求める案(レビン議員案やドゲット議員案)の議会への提出が見受けられるなど、「管轄アプローチ」への依存を更に強める動きも生じてきている。
2.我が国の対抗措置案の選択肢
(1)「管轄アプローチ」に基づく対抗措置の強化方法
欧米諸国における上記のような動きを踏まえると、実質管理地主義や実質管理地主義的アプローチである「管轄アプローチ」を我が国の税制に組み込むという選択肢もあり得るのではないかと考えられる。確かに、最近の税制調査会答申等の実質管理地主義の採用という選択肢に対する考え方は必ずしも前向きなものとはなっておらず、また、我が国の場合、予てより、OECDモデル条約4条に対しては、実質的管理地という用語に代えて本店又は主たる事務所という用語を用いることを希望するという旨の留保を付しているという事実もあるが、そもそも、「インバージョンをはじめとする国外移転では、国外移転後に生じる課税ベースの減少が問題となるので、管轄アプローチの採用が不可欠である」などの意見があるほか、課税ベースの浸食を抑止する手段としての実質管理地主義の有用性についても、平成22年度の外国子会社合算税制の抜本的な改正などによって、少なからず高まったのではないかとも考えられる。
もっとも、「管轄アプローチ」の採用という選択肢については、そもそも、実質管理地主義の導入に対して必ずしも積極的であるとは言い難いスタンスを示してきた我が国の現行のコーポレイト・インバージョン対策税制の中に、実質管理地主義と同様な考え方に立脚するアプローチを組み込むものであるという難しさがあるほか、制度の複雑化、執行上の困難性及び国際的二重課税の深刻化に繋がるなどの問題を包含していると考えられる。米国でも、IRC§7874が導入された頃、このような問題の発生を危惧する向きがある中、このような問題に対処するとの観点から、外国親会社の税務申告や外国親会社からの税の徴収に係る困難性等を緩和することを意図した措置(例えば、財務省規則§1.1502-77(j)等)が手当されたものの、そもそも、このような問題への対応には一定の限界があるほか、このような対応措置を講じることは、制度の更なる複雑化に繋がるなどの問題もある。
(2)「合算アプローチ」に基づく対抗措置の強化方法
法人資産等の国外移転への対応を強化する方法としては、「管轄アプローチ」という新たな制度設計に依拠するのではなく、我が国の現行のコーポレイト・インバージョン対策税制の基本的な構造を変革することなく、現行制度が立脚する「合算アプローチ」や「実現アプローチ」の適用基準・範囲に変更を加えることによって、その機能強化を図るという選択肢も考えられる。本税制が立脚する「合算アプローチ」は、コーポレイト・インバージョンによる外国子会社合算税制の適用逃れを阻止するとの目的の下に採用されているものであるが、かかる目的との関係から、「合算アプローチ」の適用対象範囲を拡大する必要性・有用性がないとも言い切れないことは、例えば、我が国のコーポレイト・インバージョン対策税制は、合算課税の対象となる範囲が狭すぎるため、上場会社がコーポレイト・インバージョンを行うと、その網にほとんど掛かってこないという問題を有しているとの指摘がされていることなどからも示唆される。
法人資産等の国外移転という問題については、「合算アプローチ」に立脚する制度の機能を強化することによって対応するという方法が有用であり、また、その有用性が大きいものとなり得ることについては、例えば、米国のオバマ大統領が、無形資産の評価の適正化を図ることによって不当な所得の国外移転を阻止することにも一定の限界があるなどの認識の下、無形資産が軽税率国に所在する被支配外国法人に移転され、その結果、大幅な所得移転が生じているケースでは、被支配外国法人が得た過大な所得については、サブパートF所得として合算課税の適用を行うとする改革案を示し、本案が2011年予算で採択されたことなどからも示唆される。本改革案は、CFCルールの適用範囲の実質的な拡充を行うことによって、移転価格税制及びコーポレイト・インバージョン対策税制の機能・限界を補完するという狙い・効果を有するものであることから、「合算アプローチ」に依拠するものと位置づけることができる。
上記のような指摘や動き等に鑑みると、コーポレイト・インバージョン対策税制の「合算アプローチ」に立脚する部分の機能を拡充するという選択肢もある得ると考えられる。実際、例えば、本税制の適用要件(株式保有割合等)を変更し、その適用対象を広げるべきであるとの意見もある。このような選択肢・意見が立脚する視点の重要性は、平成22年度税制改正によって、外国子会社合算税制の変更内容(トリガー税率の引下げによる適用対象国・地域の減少等)と整合性を保つ形でコーポレイト・インバージョン対策税制が改正されたことなどに鑑みると、更に高まったとの見方もできよう。しかし、「合算アプローチ」の適用対象範囲を拡大するという選択肢については、外国子会社合算税制との整合性を維持するという必要性との関係から生じる限界があるとすれば、当該選択肢の制度設計上のあり方については、かかる限界によって画されることとなるため、それほど抜本的な強化方法とはならないのではないかと考えられる。
(3)「実現アプローチ」に基づく対抗措置の強化方法
上記の通り、我が国のコーポレイト・インバージョン対策税制に「管轄アプローチ」を組み込む案や「合算アプローチ」の適用要件に変更を加えるという選択肢を採用することによって、その機能の強化を図ることが可能となり得るが、これらの選択肢は、上記のような問題点や限界を包含しているのも事実である。確かに、我が国のコーポレイト・インバージョン対策税制の「実現アプローチ」に立脚する部分を強化するという選択肢についても、その制度設計上、幾つかの問題点や一定の限界が想定される。しかし、米国のIRC§7874や主な欧州諸国の出国税等が立脚する視点やその機能等に鑑みると、我が国のコーポレイト・インバージョン対策税制も含めた幾つかの対抗措置についても、「実現アプローチ」に立脚する部分の機能強化やその拡充を図ることには十分な根拠・合理性があり、また、このような機能強化方法の潜在的有用性も相対的に大きいのではないかと考えられる。
上記のような考えの下、我が国のコーポレイト・インバージョン対策税制の「実現アプローチ」に立脚する部分を強化する方法としては、例えば、その適用対象については、現行制度のように、低税率国に親会社機能を移転させるコーポレイト・インバージョンや株式のキャピタル・ゲインに対する我が国の課税権が失われることとなると想定されるコーポレイト・インバージョンに限定するのでなく、米国のIRC§7874と同様な視点・考え方に立脚し、国外に親会社機能を移転させるコーポレイト・インバージョンの内、インバージョンの前後において、その株式保有割合や経営実態に実質的な変化が殆ど生じていないものについても、税負担の軽減を目的とするものであるなど、一定の要件に合致する場合には、コーポレイト・インバージョン対策税制の適用対象に含めることとした上で、譲渡益の繰延べを認めない、或いは損失の利用に制限を加えることなどが考えられる。
もしくは、欧州諸国の出国税等と同様な視点・考え方に立脚し、「実現アプローチ」に基づいた譲渡益課税制度を組み込むという選択肢もあろう。このような選択肢としては、資産の所有者の変更を伴わないケースでも、法人資産の国外移転が生じる場合には、原則として、譲渡益課税の対象とする制度を採用する、
法人が、管理支配地の国外移転や租税条約の適用などによって無制限納税義務者から制限納税義務者になる場合にも、原則として譲渡益課税の対象とする制度を採用することなどが考えられる。実際、例えば、上記
のような選択肢の採用を検討することの必要性が低くないことは、ドイツの場合と異なり、我が国の「現行法は、前叙の無制限納税義務と制限納税義務とのあいだの異動に関する規制を十分に行っておらないため、その間隙をぬって、国際的なタックス・プラニングが容易に試みられるのではないであろうか」との懸念が表明されていることなどからも確認し得よう。
さらに、法人資産等の国外移転において問題となるのは、譲渡益課税のあり方だけではないことは、欧米諸国における無形資産等の国外移転に対する移転価格税制の適用を巡る訴訟の深刻化や、2008年12月に公表されたOECDの「事業再編に係る移転価格上の側面」と題されたディスカッション・ドラフトを巡る議論などからも確認し得るが、近年、例えば、ノルウェーでは、無形資産の国外移転に着目した新たな出国税が導入され、また、ドイツでは、所得相応性基準を「機能の移転」に適用することを定める「対外取引課税法」1条3項(「広義の出国税」とも称し得るものであり、実際、“exit charge”などと英訳されている。)が手当されるなど、「実現アプローチ」に立脚する措置を拡充する動きが生じている。我が国の場合も、このような動きを踏まえると、「実現アプローチ」に立脚する措置の機能強化という観点から移転価格税制のあり方を再検討するという選択肢にも目を向ける必要があると考えられる。
3.結論
最近の欧米諸国の法人資産等の国外移転への対応措置等の分析から得られる示唆は、我が国の場合、上記の通り、「管轄アプローチ」、「合算アプローチ」及び「実現アプローチ」のいずれに依拠する形での制度の機能強化の余地もあるということであり、また、機能強化の具体的なあり方についても少なからぬ示唆を得ることが可能であるが、とりわけ、「実現アプローチ」に依拠する制度・措置の機能を強化するという視点の重要性・有用性は大きいと考えられる。なぜなら、そもそも、課税ベースの浸食は、租税回避を主な目的とする法人資産等の国外移転によってだけでなく、租税回避ではない通常の組織再編成や関連者間取引による法人資産等の国外移転によっても生じ得ることから、先ずは、後者によって生じる課税ベースの浸食に対処する核となるべき制度の見直し・構築を行うことが基本となるべきであるところ、我が国の場合、核となるべき制度の見直し・構築を行う余地が少なからずあると考えられるからである。
上記の考え方からすると、幾らかの欧米諸国が採用している「広義の出国税」の考え方・制度設計等から示唆を得て、みなし譲渡益課税のあり方を再検討し、法人資産等の国外移転によって、かかる資産等の含み益に対する課税関係が変化し、その結果、我が国の課税ベースの浸食・課税権の制限が生じることとなるケースにもある程度対処し得るような措置を手当てすることや、問題視すべき無形資産等の対象範囲や評価方法等が十分に明確でないことなどに起因して国外移転する無形資産等の価値が過少評価されることを阻止するために、国外移転に伴って対価の受領が必要となる資産等や移転形態等の明確化に資する措置や無形資産等の直接的な評価方法の適用を担保する手段等を講じることなどが重要な課題となると思料するが、これらの課題への取組みの必要性は、国際的事業再編等による法人の事業形態の変更に伴う所得の国外移転に係る移転価格税制の限界をPE課税で十分に補えないような場合には、より一層高まるのではないかと考えられる。
項目 | ページ |
---|---|
序論 | 19 |
第1章 法人居住性の判定基準と出国税 | 24 |
第1節 法人居住性の判定基準を巡る議論 | 24 |
1.設立準拠地主義と実質管理地主義の得失 | 24 |
2.法人の管理地等の国外移転を巡る諸環境の変化 | 30 |
第2節 実質管理地主義と出国税の最近のEUにおける位置づけ | 37 |
1.個人に対する出国税と欧州法との関係 | 37 |
2.法人に対する出国税と欧州法との関係 | 44 |
第2章 法人居住性の判定基準及び出国税等の機能強化に向けた動き | 51 |
第1節 イタリアの対抗措置と最近の動き | 51 |
1.法人居住性の判定基準と出国税 | 51 |
2.新たな対抗措置 | 53 |
第2節 ノルウェーの対抗措置と最近の動き | 56 |
1.個人と法人に対する出国税の特徴 | 56 |
2.資産と負債に対する出国税の特徴 | 58 |
第3節 ドイツの対抗措置と最近の動き | 63 |
1.「払出し」の概念に依拠した課税の有用性と限界 | 63 |
2.2006年法人税法改正のポイント | 66 |
3.法人機能等の国外移転への対抗措置 | 71 |
第4節 事業再編と移転価格との関係を巡る議論 | 78 |
1.OECDのディスカッション・ドラフトの主なポイント・論点 | 78 |
2.OECDのディスカッション・ドラフトを巡る議論 | 83 |
第3章 米国の対抗措置と最近の動き | 87 |
第1節 組織再編成と譲渡益課税 | 87 |
1.法人居住性の判定基準と組織再編成税制のポイント | 87 |
2.IRC§367(国外移転に係る通行税)の下での一般ルール | 92 |
3.IRC§367が定める一般ルールの例外 | 94 |
第2節 IRC§367の有用性と限界 | 96 |
1.IRC§367と無形資産取引との関係 | 96 |
2.IRC§367の問題点 | 99 |
第3節 IRC§7874の導入と新たな対抗措置 | 108 |
1.IRC§7874の制度設計 | 108 |
2.「管轄アプローチ」への依存の高まり | 112 |
3.対抗措置・アプローチの多様化に向けた動き | 117 |
終章 我が国の対抗措置の選択肢 | 122 |
第1節 法人資産等の国外移転と対抗措置の特徴・限界 | 122 |
1.我が国における最近の動き | 122 |
2.課税ベース浸食の防止措置 | 130 |
3.対抗措置の問題点と限界 | 133 |
第2節 対抗措置の強化方法の主な選択肢 | 139 |
1.法人居住性の判定基準の再検討 | 139 |
2.コーポレイト・インバージョン対策税制の再検討 | 146 |
第3節 「実現アプローチ」に依拠する強化方法の具体案 | 156 |
1.無形資産等の国外移転が惹起する課題 | 156 |
2.直接的な評価の意義と方法 | 161 |
3.直接的な評価方法の適用上の困難性 | 167 |
結語 | 174 |
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