大久保 修身

国税庁長官官房
人事課企画係長


1.はじめに

 現在の租税体系では、所得税が最もすぐれた課税の方法であると考えられている。経済力を表す指標として資産、消費などに比べて所得がすぐれていること、累進課税により垂直的公平、所得再分配が達成できることなどがその理由である。
しかし、最近、所得を課税ベースとする所得税及びその考えの根底にある包括的所得の概念に対し活発に検討が行われており、特に課税ベースとして取得に代えて消費を採用し、これを直接税の形で執行して累進課税を行う支出税の提案がきわめて有力になってきている。
そこで、本報告においては、まず、包括的所得ベースと支出税の用語の説明を行った後、主に公平の見地から所得ベースと消費ベースとで取扱いが異なる特徴的な点を取り上げ、包括的所得ベースと消費ベースを比較検討し、望ましい課税のあり方を探ってみる。

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