綿引 享

税務大学校
租税理論研究室助教授


はじめに

 酒類、酒母、もろみの製造をしようとする者及び酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業をしようとする者は、酒税法の定めるところにより、それぞれ製造場又は販売場等ごとに、その所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならない。また、製造場又は販売場等の移転については、許可を受けなければならない。
そこで、新たに酒類業免許の対象となる事業を行うことを目的とする会社を設立し、若しくは工場を新設して免許を受けようとする場合、又は既に免許を受けた場所以外において新たに酒類業を営もうとする場合あるいは免許を受けた事業場を移転しようとする場合には、あらかじめ税務署長に対し、会社を設立し又は設備等が完成した際に免許又は許可を受けたい旨の申請をし、税務署長は、申請者が将来これらの行為を完了し免許又は許可の要件を具備すると認めるときに、免許又は許可を与える見込みである旨の内諾を与えることがある。この取扱いを「内免許」又は「内許可」と呼び、その申請を「内免許申請」又は「内許可申請」(以下本稿においては、それぞれ、「内免許」又は「内免許申請」と総称する。)と呼んでいる。
この内免許の取扱いは、税務行政の必要性から設けられているものであって、実定法に基づくものではない。そこで、内免許の制度については、不服申立て、訴訟、先願権などに関して問題があると思われるので、本稿においては、内免許制度についての法的性質及び問題点について、沿革等をたどりながら、若干の考察を試みたものである。

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