付録1
本報告書による債権の適正評価方法の概要を示せば次のようになる。
付録2
1. 元利払履行継続債権の適正評価額は、満期日までの債権からの月次キャッシュ・フローの割引現在価値となる。割引は、原則として月又は年複利計算による。
2. 割引率
割引率は、評価日現在の残存期間に対応する国債利回り等適切な指標に信用スプレッドを上乗せして決定する。割引率は、経済環境及び市場環境の変化に対応して変更される。
3. 信用スプレッド
国債の利回り等適切な指標に市場実勢を反映した信用スプレッドを上乗せする。信用スプレッドは原則として、債務者分類、担保不動産の種類及び所在地、担保順位、返済の履歴、金融・資本市場の状況等を総合的に勘案して交渉のうえ決定する。
付録3
債権CF割引法に適用される割引率は、債権売買の当事者が市場実勢を反映して決定するのが適切である。しかし、将来、一般的ガイドラインを設定する必要が生じた場合には、中立的立場にある関係者が市場の実勢を調査し、債権売買の当事者の意見を聴取した上で決定することが適当である。
割引率のガイドラインを設定する上で考慮を要する事項は次のとおりである。
付録4
この評価法は、債権の元利払いの一部は履行されているが、いずれ、当該債権は債務不履行となることが確実と予想される債権に適用する。債務不履行は、巨額な一括返済、主要リース契約の満期、元利払の逓増等により発生することが想定される。しかし、このような事実のみで機械的に債務不履行とされるのではなく、債務者の実状と債権者の分析に基づいて債権の売買当事者により決定される。
対象となる貸出金は以下のとおりである。
(1) 元利払履行中であるが、将来履行懸念テストを満たさず、債務不履行となる兆候のある不動産担保貸出金
(2) 元利払が停止している不動産担保貸出金
(1) 担保権行使手続を進め債権者の利益の最大化を図るために、債権者は、債務不履行日(評価日)に担保権行使手続を開始し、すべての権利と利用可能な手段を行使すると想定する。
(2) 担保資産の権利関係が複雑に錯綜していない場合は、債務不履行日(評価日)から競売申し立て日までの期間は3〜6か月とする。
(3) 担保資産の権利関係が複雑に錯綜している場合は、債務不履行日(評価日)から競売申し立て日までを9〜12か月とする。
(4) 競売申し立てから落札までの期間を8〜24か月と想定する。
担保権行使シナリオ評価法では、
(1) 債務不履行が予想される元利払履行中貸出金は、債務不履行予想日から競売による落札日まではキャッシュ・フローを見込まない。自己落札により不動産を取得する可能性が高い場合は、不動産収益還元評価法が使用される。第三者による落札の場合は、債権CF割引法が準用される。
(2) 元利払停止貸付金は、評価日から競売による落札日まではキャッシュ・フローを見込まない。自己落札により不動産を取得する可能性が高い場合は、不動産収益還元評価法が使用される。第三者による落札の場合は、債権CF割引法が準用される。