【答え】

2.重さ

【解説】

昭和11(1936)年の史料によると6県(栃木、群馬、埼玉、神奈川、岐阜、愛知)で軌道税が課税されていました。税額の決め方には若干の違いがあるものの、線路の重さが基準の一つとして採用されていました。例えば、神奈川県では、利益配当6分(6%)未満の事業者が、1ヤード(約91cm)当たり重量60ポンド(約24kg)までの線路を使用した場合は年26.6円、60ポンド超 80ポンド(約32kg)以下の線路を使用した場合は年35円が敷設された線路の長さに合わせて課税されていました。
 線路の重さは線路の規格を決めるときに用いられる重要な要素で、重い規格の線路ほど高速運転や重量物の輸送に適していたため、重い規格の線路を用いた鉄道は高い能力を発揮できました。神奈川県の軌道税は会社の利益だけでなく、設備面である線路の重さも税額を決める基準となっていたのです。他の地域(栃木県)でも、線路が敷設された土地の評価と、線路の重さを基準とするなど、線路の重さが採用されていました。
 軌道税では設備の質の指標として、線路の重さを採用したのでしょう。なお、線路の重さなどの基準にヤード・ポンド法が用いられていたのは、鉄道が同法を用いる欧米から輸入された名残です。
 鉄道会社は資本も大きくその土地に根ざして営業するため、納税義務者としては非常に安定していました。そのため国税では乗客が払う運賃に対して通行税が課税されましたが、地方税では軌道という設備に対して課税したのです。

(研究調査員 菅沼 明弘)