【答え】

3 福岡県

【解説】

昭和3年11月、福岡県は全国で最初の「納税デー」を実施しました。納税思想の普及・宣伝を図り、納期限を周知させて税の滞納を防止することが目的でした。地租や所得税は市町村が徴収することになっていましたが、最初ということで福岡県が主唱し、それに市町村や税務署が提携する形で納税宣伝が行われました。
第1回の具体的な内容はわからないのですが、福岡県は、その後も昭和5年に第2回の「納税デー」を3日間実施しています。このときは、納税デーのマークやポスター、納税標語の募集、宣伝ビラの配布や電車内の吊り広告、宣伝カーでの巡回など、かなり大掛かりな内容でした。納税デーのバッチは71万個作製して、役場吏員は勿論、各種議員、区長、納税組合長などの他、小学校児童、主婦にも配付しています。また、市町村では納税講演会が開催され、県市町村吏員と税務署員総出で、納税成績不良の町村への納税督励も行っています。
長引く不景気のもと、福岡県では税の減免や延期を要求する運動や、なかには不納同盟結成の動きなどもあったようです。しかし、県や市町村、国税当局が一体となって「納税デー」を実施するなどもあって、こうした動きは鎮静化したのです。
これ以降、昭和の1桁台には、各地で「納税デー」や「納税週間」などが実施されるようになります。いずれも不況を背景とする滞納の増加に苦心する市町村が、納税思想の涵養を図るために実施したものです。
この福岡県の「納税デー」の史料は、租税史料叢書第8巻『国税徴収関係史料集』に収録されています。この史料集は国税庁のホームページでもご覧いただけます。

(研究調査員 牛米 努)