【答え】

2 毛織物の軍服生地

【解説】

織物消費税は、「織物」以外のものには課税されません。「織物」の定義を平易に考えれば、「糸を縦横に交差して織り合わせたもの」となります。
 1 「レースのハンカチ」ですが、レースは糸と糸を編み合わせ、もしくは撚り合わせたものですので、「織物」には該当せず、非課税となりました。
 2 「毛織物の軍服生地」ですが、毛織物は「織物」ですので、課税対象となりました。そもそも明治37年の第一次非常特別税として織物消費税が誕生した際には、課税対象は毛織物のみでした。翌38年に第二次非常特別税が制定されたときに、他の織物へも課税対象が広がったのです。また、軍服生地であっても特例には該当せず課税されました。将校服・兵服の別なく、平時・戦時においても課税対象だったのです。
 3の「綿織物」は、もちろん織物ですので、当初は課税対象でした。しかし、大正15(1926)年の織物消費税法改正により、生活必需品の負担軽減という社会政策的見地から、綿織物は非課税とされました。
 4の「ステープル・ファイバー」(略称は「スフ」)は、いわゆる人造絹糸(人造繊維・化学繊維)の一種です。人造絹糸は絹織物に類似させた存在ですので、課税対象となりましたが、そのなかでスフは絹織物よりも綿織物に類似しており、綿織物の代用品という観点から、織物消費税法改正により昭和12年5月1日から非課税となりました。後の戦時体制に伴う物資不足により、綿織物代用品のスフは低品質で大量生産され「粗悪品の代名詞」とも呼ばれました。
 なお、織物消費税はシャウプ勧告を受けた税制改正により、昭和25(1950)年1月1日に廃止されました。

(研究調査員 渡辺 穣)