【答え】

2 菜種(アブラナの種子)

【解説】

菜種は、明治初期の頃までは灯火の主原料の一つでした。江戸時代には、油の原料となる菜種を絞る業者(絞油業者)には免許制が取られており、運上・冥加という税が課されていましたが、藩や地域によって課税方法などは区々でした。関八州では、絞油器械の大小に応じ、菜種をもって納税するよう定められていました。
 ところで、明治政府は、税制については明治維新後も「旧慣」に沿うこととしていたため、各地で課税方法などが区々な状態が続いていました。そこで政府は明治4年に、このような状態を改めるため、全国統一の課税制度にすることとし、絞油税則を定めました。業者には免許鑑札料が課されたほか、器械の大小に応じて絞油税(1斗絞器械(注)につき年間1両の税金)を納めることとされ、原則的に金銭での納税へ統一されました。

(注)原料の生菜種1斗(約18リットル)が一度に絞れる器械

なお、絞油税則は菜種を原料とすることを想定して制定されたのですが、大豆や米などを原料とする事例があることから、明治5年の布告によりこれらの原料も課税の対象に含まれるようになりました。
 石油や石炭の輸入が増えたことによって絞油業者の経営が圧迫されるようになったため、内国産油保護の観点から、絞油税は、明治8年2月20日布告第24号により明治7年12月31日を限りに廃止されました。

(研究調査員 今村 千文)