【答え】

1 砂糖の色の違い(色相別課税制度)

【解説】

砂糖消費税法が施行された明治34(1901)年の砂糖への課税方法は、砂糖の色の違い(色相別課税制度)で等級区分し、課税されました。最も等級が低いのは黒糖で、精製を繰り返して白くなるほど等級が上がり、税率も高くなりました。黒糖は庶民層の需要が多いため税率を低くし、白い砂糖は贅沢品なので税率を高くするといった考えに基づいています。また、黒糖などを生産している沖縄県等の小規模な製糖業者を保護するといった目的もありました。
 この色相の違いを鑑定するために用いられたのが、「オランダ標本」というものです。オランダ標本は、天保11(1840)年にアムステルダムの砂糖商によって考案された砂糖の色相標本で、黒色の第1号から灰白色の第20号までありました。

砂糖消費税法が施行された当時の税率では、税率の最も低い第1種はオランダ標本第8号未満の砂糖、税率の最も高い第4種はオランダ標本第20号を超える砂糖とされていましたが、当時は第20号を超える砂糖はありませんでした。等級区分は、その後何度かの改正を経ています。
 しかし、1砂糖に故意に着色して軽率の課税を受ける例があったこと及び2オランダ領ジャワで製造された砂糖を中国で優位に販売するため、オランダ政府がオランダ標本を意図的に改正したこともあったことから、色相別課税制度に疑問が呈せられるようになっていきました。
 そこで、昭和15(1940)年から、糖蜜を分離しない方法で製造した砂糖(含蜜糖)を第1種、糖蜜を分離する方法で精製・製造した砂糖(分蜜糖)を第2種とする製造方法の違いで区分する方法(製造方法別課税制度)が取り入れられました。また、含蜜糖でも糖度が86度を超えると第2種の中でも高い税率に分類するという、一部で砂糖の糖度の違いによる区分(糖度別課税制度)も加味されていました。
 この製造方法別課税制度(一部、糖度別課税制度)は、砂糖消費税法が廃止となる平成元(1989)年まで続きました。
 なお、氷砂糖は砂糖消費税法が施行された当時の明治34年から、角砂糖は明治43(1910)年から、色相、製造方法、糖度に関係なく、いずれも最も上位の等級に置かれていました。

明治34年砂糖消費税法施行時の税率
区 分 分 類 税 率
第1種 オランダ標本
第8号未満
砂糖100斤に対し
1.00円
第2種 オランダ標本
第15号未満
砂糖100斤に対し
1.60円
第3種 オランダ標本
第20号以下
砂糖100斤に対し
2.20円
第4種 オランダ標本
第20号超
及び氷砂糖
砂糖100斤に対し
2.80円
(注) 1 オランダ標本第8号未満は黒色の砂糖で、号数が上がるごとに精製度合が高くなり、色が白っぽくなる。オランダ標本第20号は灰白色の砂糖。
2 1斤=160匁=600グラム

(研究調査員 渡辺 穣)