【答え】

4 狆

【解説】

京都府、群馬県では「猟犬、狆」と「其の他」とで税率に差を付けており、前者の税率の方が高く設定されていました。

『大正13年度 道府県雑種税課率調』を例に、大正13年当時の状況を確認してみましょう。

東京、大阪、神奈川、京都、兵庫など大都市を抱える府県では、郡部か都市部かといった飼育場所で差が設けられました。このほかに、宮城県や秋田県、滋賀県、徳島県などは「猟犬」とそれ以外、といった飼育目的で区分されていました。「猟犬」のほかに「闘犬」(高知県)や「愛玩犬」(岩手県)など、飼育目的を掲示している県はありましたが、犬種を指定されているのはこの狆だけです。

狆は、日本原産の小型の愛玩犬で、近世から上流階級や花柳界などで盛んに飼育されていました。「愛玩犬」を課税標準に掲げる県もありましたが、わざわざ狆と指定しているところに、狆が愛玩犬の代表として認識されていたことがうかがわれます。

(研究調査員 今村千文)