【答え】

3 金沢市

【解説】

遊興税は、大正8年(1919年)5月に石川県金沢市が初めて市税として創設しました。

条例は、「本市内に於ける料理店、貸席、貸座敷にて芸娼妓を招聘して飲食又は遊興をなし金員を消費せしものに課税する」となっており、芸妓の招聘を伴うことが条件でした。

遊興への課税について大蔵省(現在の財務省)主税局国税課長(当時)の勝正憲は、「遊興税は日本で初めての事であるが、私もその趣旨は無論よいと思って居る。(中略)贅沢者流などの濫費の一部を徴する金沢市の企てのことはよい事だ」と意見を述べ、金沢市を支持しました(大正8年4月17日付「東京朝日新聞』)。

金沢市の遊興税導入は他の市へと波及していき1年後には5県38市まで広がりました。

大正15年(1926年)には、地方税法の改正により府県税として課税することもできるようになり、昭和14年(1939年)の段階では、東京府・沖縄県を除いた全道府県が府県税として導入していました(東京市・八王子市・那覇市は市税として課税)。

遊興税は、昭和14年(1939年)に遊興飲食税として国税へ移りました。遊興飲食税(国税)では、芸妓の招聘を伴わない料理店等での飲食代や旅館(ホテル等を含む)の宿泊料なども課税対象にされました。

遊興飲食税(国税)の税率は、遊興飲食の内容や税法改正により変わります。芸妓への支払代金(花代)で見ると、導入当初は20%でしたが、昭和19年(1944年)には300%にまで跳ね上がりました。この異常な増税の背景には戦争があり、「消費の抑圧」及び「国民精神の緊張に資する」という理由が挙げられていました。

遊興飲食税(国税)は昭和22年(1947年)3月で廃止となりますが、同年4月から再び地方税としての遊興税となりました。課税標準は、遊興飲食税(国税)と同様でした。

その後、遊興税は、遊興飲食税、料理飲食等消費税、特別地方消費税と名称を変えて存続しましたが、地方消費税の創設等の理由により平成12年(2000年)3月に廃止となりました。

(研究調査員 栗原祐斗)