【答え】

2 玄米

【解説】

年貢は玄米で納入することが基本でした。年貢に限らず、江戸時代の「米」という言葉は玄米を指します。庶民が領主に年貢として納める米も、庶民が商品として出荷する米も、脱穀して籾摺り(もみすり)をした玄米の状態の米だったのです。

米で納める租税の歴史を見ると最初から玄米だったわけではありません。

7世紀後半に律令制で租庸調が定められ、そのうち、田に課された税(租)は頴稲(えいとう、穂に付いたままの籾)で納められていました。その後、8世紀の初頭には脱穀した籾で納める形に変化し、それから数百年をかけて、租税として納める米は、籾から玄米に置き換わっていったのです。

このように玄米で租税を納める方式は、世界的にみると非常に特殊な形です。現在でも日本は玄米で取引しますが、世界の米取引は籾で取引することが標準です。このような日本の米に関する商い慣習は、年貢米制度の名残といえるでしょう。

籾は貯蔵に優れているという特長があるので、長期保存が目的の場合には、現代の日本でも籾の状態が選ばれます。一方の玄米は、劣化が早く長期保存には向きませんが、品質の確認は籾よりも容易であるという特長があります。

このような特長から、日本の領主は、貯蔵性よりも品質のチェックを優先させたと考えられるのではないでしょうか。

(研究調査員 舟橋明宏)