【答え】

1 イギリス人の貿易商

【解説】

 大正14(1925)年に横浜税務署管内で所得調査委員に選出されたのは、マーシャル・マーテン(C.K.Marshall Martin)というイギリス人の貿易商でした。マーテンは、関東大震災で被災した横浜の復興に貢献した人物としても知られています。
 国民租税協会編集の雑誌『税』(大正15年2月)は、「国際所得調査委員」という見出しでマーテンを紹介しています。記事によれば、国際関係を考慮すると外国人の調査委員も1名くらい必要であろうとして、官吏や教員が投票し選出されたようです。選挙といえば名士や豪農が選ばれるイメージがありますが、外国人が選ばれるあたり国際都市の横浜らしいエピソードと言えるでしょう。
 なお、所得税が導入された明治20(1887)年の段階で所得調査委員の選挙権があったのは、選挙区内に住む所得税の納税をしている、満25歳以上の日本国籍の男性だけに限られていました。
 その後、明治32 (1899)年の改正で条件が緩和され、選挙区内に居住している所得税の納税者であれば、女性や外国人でも選挙に参加できるようになりました。