1 商品見本 2 チンドン屋・広目屋
広告は広告税法の中で、第1種・第2種に分けられていました。第1種は、広告業者を通じて行う広告であり、新聞紙や雑誌、交通運輸機関設備、気球(アドバルーン)等を用いた広告が該当し、広告主から広告料金を受け取る業者が納税しました。
第2種は、広告主自身が行う広告であり、立看板や幟(のぼり)、旗、チラシポスター、建物の壁面広告等を用いた広告が該当し、広告主が納税しました。
今回選択肢に挙げたポスターと建物の壁面広告は、第2種に該当するものとして課税されていました。
選択肢のうち、非課税である商品見本とチンドン屋・広目屋については、国民租税協会編集の雑誌『税』の中で、「(一通り課税物件を述べた後)是以外に相当効果的な広告もあるが、(中略)課税されないのである。例へば広目屋即ちチンドン屋に依る広告、マネキンに依る広告であるとか、商品見本に依る広告の如きは課税の対象とはならない」と解説されています。また、東京財務局が作成した「広告税講義案」では、「本法ニ於テハ、人、動物等ノ労力又ハ音声ヲ以テ広告ヲ為スガ如キハ課税ノ対照(筆者註:「象」の誤)トセザルモノト解スベキナリ」と解説しています。ただし、チンドン屋・広目屋でも、第2種に該当する幟や旗、チラシなどを使用した宣伝を行った場合は課税されました。
なお、国税としての広告税は昭和20年(1945年)8月1日に課税を停止、昭和21年(1946年)9月1日には廃止されました。昭和40〜50年代には広告税の復活が税制調査会で検討されましたが、特定の事業への狙い打ちである等の意見があり、実現することはありませんでした。
(研究調査員 栗原祐斗)