答え

 5(「そ」味噌)

解説

 砂糖には、明治34年(1901年)に砂糖消費税が課されました。当時、砂糖は輸入品が多く、ぜいたく品とみなされたため、課税の対象になりました。
 次に塩ですが、塩にも税が課された時期があります。明治38年(1905年)に塩専売法が公布(翌年施行)され、塩の専売制が始まりました。塩専売制へ移行する準備段階として、塩専売法の公布から施行までの間の短期間、塩に対する課税(販売目的で所有する者に対する課税)がされました。
 酢は、酒造税則によって、明治16年(1883年)に課税が始まりました。これは、酢が酒を醸造した後に作られるものであるため、酢を製造する過程で課税対象となる酒が作られる以上、酢にも課税すべきという考えに基づいています。酢への課税は、明治18年(1885年)に廃止されました。
 醤油は、清酒、濁酒と併せて江戸時代に三造(みつくり)と言われ、これら3品には、明治4年(1871年)から、「清酒、濁酒、醤油鑑札収与並収税方法規則」によって免許税及び醸造税が製造者に課されました。明治8年(1875年)、生活必需品である醤油に税を課すことは不当であるという理由から醤油税は一旦廃止されましたが、明治18年(1885年)に、軍備拡張の財源として復活し、大正15年(1926年)に廃止されるまでの40年余り課税されました。
 一方、味噌が課税されなかった理由は、明治18年(1885年)醤油税則の法案審議にみることができます。この法案審議の記録である「元老院会議筆記」によると、生活困窮者は醤油よりも味噌を消費するという当時の実態から、味噌への課税はこれらの人たちに大きな負担をもたらすと判断されたようです。また、味噌は自宅で製造される場合が多く、商品として流通するものは少なかったようです。これも、味噌が課税されなかった理由の一つです。
 このように、課税か非課税かの判断には、生活必需品か奢侈(しゃし)品か、あるいは商品として流通しているかどうかなど、課税対象物を取り巻く時代の変化に応じて、いくつかの基準があったことが分かります。

(研究調査員 岩井美樹)