答え

  • 3 鉄砲造り

解説

 時代劇や博物館などで観ることができる火縄銃は一般的には、細銃です。しかし、火縄銃には中銃、大銃の類別があり、大銃は銃座から胴体にかけて、大人が一抱えもするほど大きく、小型の大砲にも似るつくりです。大銃は、日本の火縄銃造りの発祥地で有名な滋賀県長浜市の「国友鉄砲の里資料館」で、その大きさを確認することができます。
 生糸の鉄砲造りは、揚げ返し後の一繰りを60繰り合わせて一束とし、さらにこれを30束合わせて大銃のようにこん包しますが、総繰り数1800、総重量は9貫目=約34kgにもなります。
 鉄砲造りでは当初、小さな帯状の巻紙印紙を、一繰りごとの天地にそれぞれ用いるつもりでした。そうすると、貼付する巻紙印紙は3600枚にもなる計算で、これらの貼付事務を検査場に累積される鉄砲造り全部に施すことは、あまりにも煩雑となり、印紙事務及び貿易事務の遅延につながり兼ねません。そこで、大きな「化粧紙印紙(けしょうがみいんし)」を考案し、貼付は1回で済ませるよう、相撲取りの化粧回しのように、胴体部分にぐるりと巻き付け、貼り付けることに改めました。こうした印紙貼用事務の簡素化が、世界一大きな印紙の生まれる所以となったのです。
 この世界一大きな印紙で使用済みのものが平成24年に租税史料として提供され、現在租税史料室にて展示されています。ご興味のある方は是非ご来室いただき、閲覧されてはいかがでしょうか。

(研究調査員 鈴木 芳行)

世界一大きい生糸印紙

 世界一大きい生糸印紙(縦169ミリメートル×横467ミリメートル)※写真は使用前のものです。

 鉄砲造り 上の図のように作り上げた上に更に化粧紙を用い巻しまいのところへ会社改印をする。