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図版2「書残」(冒頭部分)

(解読文)
 人は天地人の三ツの内なれハ、天地を知るをもつて道も守る也、古しへ天地(アメツチ)とさだまれる事を審(ツマビラカ)に悟らされハ、末の代至る色々間違事共も数々有へし、国に寒暖の別有、古しへ初而人生たる時は、至而寒国へは、生しても育(ソタチ)かたしと心得へし、陰陽ノ気を請得て初而人となる事なれハ、誰有て乳をのまする

 「書残」では、まず常右衛門の世界観が子孫に宛てて述べられています。「人」は、「天地人」の三つの内にあるものなので、天地を知ることは道を守ることにつながる、よって昔から天地と定められていることを審らかに悟らなければ末代まで色々な間違いが起きるとしています。「書残」の記述は、その具体的な内容が記された後、入間村・兵助新田の歴史へと続いていきます。「書残」では、江戸時代前期に山崎闇斎によって創唱された垂加神道の影響を見ることができるとされています。