山田 重將
税務大学校
研究部教育官


要約

1 研究の目的(問題の所在)

 所得税法は、資産の譲渡により収入として実現したキャピタル・ゲイン(所有資産の価値の増加益)に対してのみ課税することを原則としているが、例外的に、一定の無償の譲渡(法人に対する贈与及び遺贈、限定承認に係る相続及び包括遺贈)又は著しく低い対価による法人への譲渡があった場合には、時価による譲渡があったものとみなしている(所法59)。これは「みなし譲渡」と呼ばれるが、未実現のキャピタル・ゲインに対する課税の例であって、キャピタル・ゲインに対する無限の課税繰延を防止することを目的としている。
本研究では、みなし譲渡所得課税に規定される、「法人に対し資産(不動産)を遺贈する」場合(所法59まる1一)において、まる1みなし譲渡所得課税に係る所得税納税義務の承継及びまる2遺贈に対して遺留分減殺請求がされ法人が価額弁償をした場合について、後述するような問題があると考えられることから、それらに対する検討を行った。
なお、検討の前提として、みなし譲渡所得課税の歴史的沿革、制度の概要及び遺贈に係る民法の規定等についての研究も併せて行った。

2 研究の概要

(1) 法人に対して不動産の遺贈が行われた場合の所得税納税義務の承継

イ 現行制度と問題点
相続が発生し、法人に対し不動産の遺贈が行われた場合、当該相続に係る被相続人に相続人があるときは、相続人は、被相続人に対するみなし譲渡所得課税に係る所得税の納税義務を承継するとともに、所得税の準確定申告及びその納税を行う必要がある(通法5まる1、所法124まる1、同125まる1)。
民法上、遺贈の形態には包括遺贈と特定遺贈があり、国税通則法及び所得税法において、包括受遺者(法人を含む。以下同じ。)については相続人と同様に取り扱う旨を規定しているものの、特定受遺者についてはそのような規定はされていない(通法5まる1、所法2まる2)。
そのため、被相続人の相続財産の大部分が不動産であり、当該不動産全てを法人に対し遺贈した場合において、当該遺贈が特定遺贈であるときには、当該法人は被相続人に対するみなし譲渡所得課税に係る所得税を負担せず、原則的には、不動産を取得しない相続人が、当該所得税を全額負担することになる。この場合、例えば、相続人が被相続人の配偶者、子又は父母の場合は、法人に対して遺留分減殺請求をすることにより財産の取戻し、あるいは価額弁償を受け、それらを元に所得税の納税義務を果たすことが可能となるが、相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合には遺留分減殺請求権がないことから納税義務のみを承継することとなる。また、相続人が不存在、あるいは相続人全員が放棄をした場合、相続財産法人が成立し(民951)、被相続人の納税義務を承継するが、民法上、相続財産法人に遺留分減殺請求を認める規定はないことから、法人に対し不動産が特定遺贈され、なおかつ、被被相続人に対するみなし譲渡所得課税に係る所得税を納付する原資となる財産がない場合、現実的に課税が不可能となるということも考えられる。
国税通則法5条及び所得税法124条の規定において、被相続人に課されるべき国税の納税義務を相続人が承継するものと定められている背景には、相続人は当該相続によって被相続人からこれに見合う相当の財産の承継があるということが前提となっているものと考えられるが、法人に対し不動産の特定遺贈が行われた場合に、被相続人からの財産の取得がない相続人に対しても、被相続人に係る納税義務を承継させる制度となっている現行の規定は、特定受遺者である法人の担税力及び相続人と当該法人との間のみなし譲渡所得課税に係る所得税の負担の公平という観点から問題があると考える。

ロ 検討内容
法人に対して不動産の遺贈が行われた場合、上記のように、納税義務の承継に関する現行法の規定には問題があり、みなし譲渡所得課税に係る所得税に関しては、当該遺贈が特定遺贈であったとしても、包括遺贈の場合と同様に、受遺者である法人に被相続人の納税義務を承継させる規定を設ける立法措置が必要であると考える。
そこで、立法措置を講ずるにあたり、特定受遺者である法人に対して、被相続人に対するみなし譲渡所得課税に係る納税義務を承継させることが妥当かどうか、また、承継する場合において、承継する税額の計算方法をどのように規定すべきかについて検討を行った。

(イ) 納税義務承継の妥当性
包括受遺者は、遺産の上に一定の割合の権利をもつ点で相続人と類似するため、民法は、相続人と同一の権利義務を有するものとしている(民990)。したがって、包括受遺者は、相続開始と共に、法律上当然に、積極財産のほか、消極財産である債務をも承継し、債務、例えば、本研究の対象である被相続人に対するみなし譲渡所得課税に係る所得税の納税義務を承継する(通法5まる1)。
これに対し、特定受遺者については、本来、遺贈は、遺言による財産の無償譲与であり、遺贈者が受遺者に対して財産上の利益を与える出捐行為であることから、相続人と同様に取り扱われる包括受遺者と異なり、原則的には、被相続人の納税義務を承継させることはできない。しかしながら、特定受遺者である法人も被相続人からの遺贈により経済的な利益を受けており、当該法人の担税力及び当該法人と相続人との間のみなし譲渡所得課税に係る所得税の負担の公平という観点から被相続人に係る納税義務を承継させることは妥当であると考える。

(ロ) 承継する所得税の税額の計算方法
上記のとおり、特定受遺者である法人に被相続人の納税義務を承継させることが妥当である場合、承継する国税の額の計算方法が問題となるが、次の二つの方法が考えられる。
なお、特定受遺者である法人が承継する所得税は、その承継の理由が、被相続人から特定遺贈により財産を取得し経済的利益を受けたことによるものであることから、当該特定遺贈に対するみなし譲渡所得課税に係る所得税に限られ、それ以外の所得税は除かれる。

A 相続人及び包括受遺者と按分する方法
相続人等が二人以上いる場合の国税の納付義務の承継については、国税通則法5条2項の規定により、「国税の額を民法第900条から第902条まで(法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定)の規定によるその相続分により按分して計算した額」とされている。法人に対して特定遺贈がされた場合は、遺贈の対象は特定の財産であり、民法に規定する相続分のような割合によるものではないが、当該財産の価額は把握できることから、当該価額が相続財産に占める割合を求め、それを基に承継する国税の額を算定する方法が考えられる。
なお、他の相続人等については、特定受遺者が負担する部分以外の残額について、民法に規定する相続分により按分して計算する。

B 特定受遺者である法人が全額負担する方法
みなし譲渡所得課税に係る所得税について、租税特別措置法40条3項の規定と同様に、特定受遺者である法人を遺贈を行った個人とみなして全額負担させるという方法である。

ハ 結論(検討結果)
法人に対して不動産の特定遺贈が行われた場合、上記ロ(イ)で検討したように、受遺者である法人に被相続人の納税義務を承継させることは妥当である。そして、その場合の承継する国税の額の計算方法については、上記ロ(ロ)A及びBに挙げた二つの方法が考えられる。
Bの租税特別措置法40条3項と同様に特定受遺者である法人が全額負担する方法は、同項の規定が、遺贈等を受けた公益法人等が遺贈等に係る財産を一旦公益目的事業の用に直接供した後において、その用に供しなくなるといった後発的な事情を考慮して設けられた規定であることを勘案すると、特別に被相続人の納税義務を承継させる立法措置を講ずる場合において、このような計算方法を採用することは、新たに納税義務を負うこととなる法人に過度な負担を与えることになるともいえる。したがって、計算は複雑となるが、Aの他の相続人等とみなし譲渡所得課税に係る所得税を按分して計算する方法を採用するのが相当である。
また、併せて、被相続人に係る国税(みなし譲渡所得課税に係る所得税)の徴収が困難になることを防止する観点から、国税通則法5条3項と同様に、他の相続人等に係る承継税額の納付責任を負わせる規定を設けることが必要である。

(2) 法人が遺留分権利者に価額弁償をした場合の課税関係
遺留分を侵害する遺贈が行われた場合には、遺留分権利者は、受遺者に対して遺留分減殺請求をすることができる。当該請求がなされると、それによって対象となる遺贈は失効し、受遺者が遺贈により取得した財産は、当然かつ遡及的に遺留分権利者に帰属することとなる 。これに対し、遺留分減殺請求をされた受遺者は、目的物の返還に代えて、遺留分権利者に価額弁償をすることができる(民1041まる1)が、このように遺留分減殺請求に対して価額弁償がなされた場合、当該目的物が遺留分権利者から受遺者に譲渡されたことになるか否かという問題が生じる。
この問題に関する判例として、最高裁平成4年11月16日第一小法廷判決(集民166号613頁)(以下「最高裁判決」という。)があるが、当該判決の意見(多数意見及び補足意見並びに反対意見)が分かれており、学説においても議論があることから、最高裁判決を参考に、法人への遺贈に対し遺留分減殺請求がされ、法人が価額弁償をした場合の課税関係について検討を行った。

イ 民法の考え方
遺留分減殺請求に対して価額弁償がなされた場合、民法上、価額弁償によって遺留分減殺請求はなかったこととなり遺贈の効果が遡及的に復活するという考え方(遡及的直接移転説)と、遺留分減殺請求によりその目的物は相続開始時から遺留分権利者が相続したこととなり、その後に価額弁償がなされるとその時点でその目的物は遺留分権利者から受遺者等に移転するという考え方(価額弁償時移転説)がある。

ロ 所得税法59条1項の適用における問題と最高裁判決の意見
所得税法59条1項1号にいう「遺贈」の解釈としては、「無償の遺贈」のみを指すと解するのが一般的である。
問題は、無償の土地の遺贈に対して遺留分減殺請求がされ、受遺者が価額弁償を行った場合においても、「無償の遺贈」と言い得るのかという点にあり、遺留分減殺請求に対し価額弁償した場合の法的構成をどのように考えるかということと関連する。
最高裁判決の多数意見及び補足意見(以下「多数意見等」という。)は、遺贈の効果は、遺留分減殺請求によって一旦は遡及的に失効するが(第一の遡及効)、受遺者が価額弁償した場合には、遺贈の効果が遡及的に復活する(第二の遡及効)のであるから、なお全体につき当初の無償の遺贈ということに変わりはないと解している(遡及的直接移転説によっていると考えられる。)。
これに対し、最高裁判決の反対意見は、受遺者が価額弁償をする場合には、遺贈の目的とされた当該権利は、相続時ではなく価額弁償が現実に行われ又はその提供が行われた時点で、遺留分権利者から受遺者に移転するのであって、第二の遡及効は生じないため、「無償の遺贈」ということはできないと解している(価額弁償時移転説によっていると考えられる。)。

ハ 課税関係
法人が遺留分減殺請求権者に価額弁償をした場合、上記ロの遡及的直接移転説と価額弁償時移転説によるみなし譲渡所得課税及び相続税課税の関係は以下のとおりである。

まる1 遡及的直接移転説による場合

【遺贈(相続)時】
被相続人・・・・・遺贈に対するみなし譲渡所得課税
【価額弁償時】
被相続人・・・・・課税関係に変更なし
遺留分権利者・・・受領した弁償金に対する相続税課税

まる2 価額弁償時移転説による場合

【遺贈(相続)時】
被相続人・・・・・遺贈に対するみなし譲渡所得課税
【価額弁償時】
被相続人・・・・・みなし譲渡所得課税を減額更正
遺留分権利者・・・遺留分減殺請求が認められた相続分に対する相続税課税及び受遺者である法人への相続分の譲渡に対する譲渡所得課税

ニ 検討
租税法は、種々の経済活動ないし経済現象を課税の対象としているが、それらの活動等は、第一次的には私法によって規律されており、租税法律主義の目的である法的安定性を確保するためには、原則として私法上の法律関係に即して課税が行われるべきである。しかしながら、上記のように私法(民法)における見解(遡及的直接移転説と価額弁償時移転説)が分かれ、課税関係に影響(違い)が生じる場合、課税庁がいずれによるべきかが問題となる。
租税法律主義により、課税関係を法律の根拠なく租税法独自に解釈することはできないことから、課税上、検討、考慮等すべき内容ついて、それぞれの見解による差異を比較し、課税庁が採用すべきものを判断することが必要であると考える。
そこで、まる1譲渡所得(キャピタル・ゲイン)に対する課税、まる2代償分割に対する課税との整合性、まる3法人税課税との関係、まる4現物返還がされた場合との整合性並びにまる5法律(課税)関係の簡明処理及び税務行政執行の観点から、遡及的直接移転説と価額弁償時移転説との比較、検討を行い、判断することとした。

(イ) 譲渡所得(キャピタル・ゲイン)に対する課税
価額弁償時移転説による場合、遺留分減殺請求が認められた遺留分権利者の相続分に係る譲渡所得の計算においては、価額弁償金が収入金額とされるが、価額弁償金は、遺留分減殺請求に基づいて返還請求がなされたことに対し、受遺者等が民法1041条の規定により金銭によって返還請求に応じた結果支払われたものであることから、価額弁償金を相続分の移転の対価とみることができるのかという疑問が生じる。また、財産を現実に支配することなく価額弁償金のみを獲得するに過ぎない遺留分権利者にキャピタル・ゲイン課税を行うのは相当ではないという意見もある。これに対し、遡及的直接移転説によればこのような疑問等は生じない。

(ロ) 代償分割が行われた場合の課税関係との整合性
価額弁償金については、代償分割の代償金との整合性の問題もある。
最高裁平成6年9月13日第三小法廷判決(判時1513号97頁)では、代償分割は資産の譲渡ではなく、代償金を支払った相続人が被相続人から相続開始時に当該資産を直接承継したものとして扱い、代償金を取得費として控除することは認めないとして、遺産分割の遡及効に忠実な解釈をとり、代償分割を相続分の移転とは捉えておらず、その意味では、価額弁償を遺留分の移転とは捉えていない遡及的直接移転説との整合性が取れているといえる。

(ハ) 法人税課税との整合性
価額弁償時移転説による場合、遺留分減殺請求時に遺贈時に計上された受贈益について、遺留分減殺請求に対応する部分は遺贈時の時価相当額を減額し、その後、価額弁償金を支払った時点で、受遺者が遺留分権利者から遺留分減殺請求によって返還した目的物を有償取得したものとして、その価額弁償金を、目的物を取得するための取得原価として計上する。
これに対し、遡及的直接移転説による場合、価額弁償金が支払われることによって遺贈の効果が遡及的に復活し、遺贈に何ら影響を及ぼさないため、遺贈時に計上された受贈益は減額されず、価額弁償金として支出された金額は、損金として計上することになる。
価額弁償時までに値上がり益が生じている場合、いずれの説によっても、(税目の違いはあるものの)値上がり益部分が課税の対象となる点では違いはなく、所得に対する課税という観点からの違いはない。しかし、上記(イ)で述べた、価額弁償金を相続分の移転の対価とみることができるのかという点との表裏一体として、価額弁償金は法人が目的物を取得するための対価と言えるのかという疑問が生じることから、遡及的直接移転説によるのが妥当と考える。

(ニ) 現物返還が行われた場合の課税関係との整合性
遺贈の目的物の一部の返還が実行された場合には、その目的物の一部について、遺留分権利者が相続により取得したことになり、相続税の課税対象となる。一方、その部分については、遺贈による譲渡はなかったものとされ、みなし譲渡所得課税がなされていた被相続人に係る所得税については所得税法152条、同法施行令274条2号の規定に基づき更正の請求ができる(東京地判平2・2・27訟月36巻8号1532頁)。
このように目的物の一部が現物返還された場合、遺留分権利者の課税関係は、価額弁償時移転説と同様となることから、現物返還と価額弁償の経済的な利益は同額であるにもかかわらず、受遺者である法人がどちらの方法を選択するかにより、遺留分権利者の課税関係に差が出るのは合理的ではないことを考慮すれば、価額弁償時移転説に基づく課税関係の処理が妥当である。しかしながら、受遺者である法人が遺留分減殺請求によって返還した目的物に係る受贈益については、当該法人の会計処理上、土地の取得価額として処理されているが、当該土地の取得価額の是正は、継続企業を前提とした企業会計処理によって行われ、課税関係を遡及的に是正するのではなく、その返還時に損金に算入することによりなされると解されている。よって、課税関係の遡及的な是正を行わない遡及的直接移転説による課税関係の妥当性も見出せる。

(ホ) 法律(課税)関係の簡明処理及び税務行政執行上の観点
価額弁償時移転説に基づく課税関係は、上記2(2)ハまる2にあるように被相続人に係るみなし譲渡所得課税の減額更正、遺留分権利者に対する相続税課税及び譲渡所得課税を行うことになるなど、遡及的直接移転説による課税に比べ処理が多くなる。また、仮に、目的物が収益物件であった場合、それに係る課税関係の是正(遺贈時から遺留分減殺請求が認められた時点までの受遺者である法人に係る法人税の減額更正、遺留分権利者及び相続人に係る不動産所得に対する所得税課税など)が更に必要となる。
現物返還がされた場合には、所有権の移転が現になされていることから、上記のような課税処理を行うことは必要であるが、価額弁償がされた場合についても同様の処理を行うことは、遺留分権利者や法人等の申告等の手続の負担や、税務行政執行への影響を考慮すると合理的とは言えず、比較的簡明な課税処理を行うこととなる遡及的直接移転説によるのが妥当である。

ホ 結論
上記の比較、検討の結果を思料すると、課税庁においては、それぞれにおいて妥当性を有している遡及的直接移転説、すなわち最高裁判決における多数意見及び補足意見に基づく課税処理を行うことが相当であると考える。

3 結論(総括)

 本研究では、みなし譲渡所得課税に規定される、「法人に対し資産(不動産)を遺贈する」場合(所法59まる1一)における、まる1相続人の所得税納税義務の承継及びまる2遺贈に対する遺留分減殺請求が行われた場合の課税関係の問題点について検討を行った。
前者については、現行制度に問題があることから、立法措置を講ずる必要性及びその場合の計算方法について述べ、後者については、民法上、判例、学説の意見(遡及的直接移転説及び価額弁償時移転説)が分かれ、それが課税関係に影響を与えることから、いずれの説によるのが妥当であるのかを比較、検討し、課税庁においては、遡及的直接移転説を採用し、同説に基づく課税処理を行うことが相当であると判断した。
相続が発生し被相続人が法人に対し相続財産を遺贈した場面における問題について検討を行ったが、今日では遺産分割の態様は様々であり、それぞれの場合の租税法律関係については、民法で構築された論理に、権利の変動に対応して課税関係が発生するという租税法の視点が組み込まれていないのではないかという指摘もあるように、所得税についても、相続税についても、民法との関係が不明確な点が少なくない。
それらの点については、現状、条文の文理解釈や通達の制定によって課税関係の判断・疑義の判断がされているが、租税法律主義の観点からは限界があることから、立法によって妥当な解決を図り、あるいは立法によって疑義を解明して法律関係の明確化を図ることも必要である。


目次

項目 ページ
はじめに 229
第1章 みなし譲渡所得課税 231
第1節 譲渡所得の概要 231
1 譲渡所得の意義 231
2 資産の意義 231
3 譲渡の意義 232
第2節 みなし譲渡所得課税 233
1 みなし譲渡所得課税の概要 233
2 所得税法59条の立法趣旨 234
3 みなし譲渡譲渡所得課税制度の沿革 236
第3節 みなし譲渡所得課税における時価 238
第4節 所得税法59条と同法60条の関係 239
第5節 譲渡所得課税と相続税課税 242
1 二重課税の意義 242
2 租税法における二重課税への対応 242
3 所得税と相続税の二重課税問題 243
第2章 遺贈と遺留分減殺請求 248
第1節 遺贈 248
1 遺贈の性質 248
2 遺贈の種類(包括遺贈と特定遺贈) 249
3 受遺者と遺贈義務者 250
4 遺贈の効力発生時期 250
5 遺贈の効力 251
6 遺贈の放棄 256
7 相続分の指定及び遺産分割方法の指定との差異 257
8 特定遺贈と「相続させる」旨の遺言 259
9 遺贈と死因贈与 266
第2節 遺贈と遺留分減殺請求 266
1 遺留分制度 266
2 遺留分減殺請求権と価額弁償 271
第3章 法人に対する不動産の遺贈に係る法人税の課税関係 280
第1節 法人税の課税所得 280
1 法人所得の意義 280
2 益金の意義 280
3 損金の意義 282
第2節 法人税法における受贈財産の取得価額 284
1 法人税法の規定 284
2 取得価額に対する二つの考え方 284
第3節 法人に対する不動産の遺贈に係る二重課税の問題 286
第4章 法人に対する不動産の遺贈に係る問題点 287
第1節 法人に対して不動産の遺贈が行われた場合の所得税納税義務の承継 287
1 現行制度と問題点 287
2 検討 288
3 結論 293
第2節 法人が遺留分減殺請求権者に価額弁償をした場合の課税関係 294
1 最高裁平成4年判決の概要 295
2 遺留分減殺請求に対し価額弁償をした場合の考え方 297
3 判例、学説の動向 298
4 課税関係 301
5 検討 302
6 結論 306
結びに代えて 307

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