崎 昇

税務大学校
研究部


はじめに

 “The Economist”誌は、1997年5月31日号に“DISAPPEARING TAXES”という記事を掲載し、情報通信技術の進展と経済の国際化によって、税の徴収は今後ますます困難になるだろうと予測している。記事の中では、電子商取引によって資本と知的労働は国境を越えて自由に移動できる。したがって、多国籍企業や専門技術者は、高税率の国から低税率の国へ納税をシフトさせることにより、容易に租税回避を行うことができるようになる。また、インターネットを利用した消費行動が普及すれば、ネット上でのソフトウェア等の受渡しや国際郵便による小口商品の引渡しが増加し、クロスボーダー取引に対する付加価値税の課税や執行も困難となるだろう、と警鐘を鳴らしている。
このような認識のもと、本稿はインターネットを利用した電子商取引(以下、インターネット電子商取引という)が現行の国際取引課税の実体法の側面にどのような影響を与えるかを分析、検討しようとするものである。

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、Adobeのダウンロードサイトからダウンロードしてください。

論叢本文(PDF)・・・・・・1.25MB