武田 昌輔

成蹊大学教授


まえがき

 法人税法第22条第4項においては、課税所得の計算について、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(以下これを「公正処理基準」と略す。)に従って計算する旨定めている。
しかしながら、この基準が現実にいかなるものを指すかの問題になると必ずしも明らかでない。つまり、実体的にその基準が存在するわけでなくて、いわば理念として抽象的に存在するに過ぎない。
たしかに、公正処理基準と判断される素材は存する。たとえば、企業会計原則、財務諸表規則、商法における計算規定、税法の各種の計算規定等である。
われわれとしては、これらの素材を整理統合して、公正処理基準の形成に努めることが必要である。
本稿では、この公正処理基準が法人税法に規定されたことの意義及び理解と、その形成について検討することを目的とする。
なお、諸外国の税法、とくにアメリカにおける課税所得の計算方法(内国才入法第446条)は、特異な規定であると考えられるが、その資料が膨大であって本稿ではこれについて述べる余裕がなかった。いずれ機会をみて紹介することとしたいと考えている。

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