宇田川 璋仁

横浜国立大学教授


はしがき

 昭和43年度は、世にいう財政硬直化打開の第一年度として、予算編成をはじめとして米価決定、公務員給与決定そのほかいままでの経済慣行に対して多くの反省と改革が加えられようとしている。いままでの惰性にもとづく不合理さを訂正することはそのこと自体きわめて結構である。しかし、他方財政硬直化の訴えは一種の警世的ムードづくりの感じがしないでもない。
今後かなり長くつづくと思われる公債発行を伴なう財政政策において、減税問題はいかに対処さるべきか、公債発行原則はなにか、景気政策として財政政策はどのような態度を示すべきか。財政硬直化に対する基本原則はこのような問題群との関係で、適切な財政政策はいかにあるべきかという基本視点から解きあかされなければならない。この稿は、財政政策の基本的運用ルールを明示し、それとの関係で時々刻々表に出てくる世上の諸問題をその正しき問題処理の場所におさめて、財政政策上の諸問題を体系的に、相互に関連をもたせて解明し、適切な解決策への途を示唆しようとするものである。

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