東京国税局では、令和元年酒類鑑評会を開催し、出品された清酒、本格焼酎及びビール・発泡酒について、第1審を9月24日(火)及び25日(水)に、第2審については、本格焼酎部門は25日(水)、清酒吟醸部門、清酒純米吟醸部門、清酒燗酒部門及び清酒純米燗酒部門は、27日(金)に行いました。
全体の出品状況は、清酒吟醸部門に27場27点、清酒純米吟醸部門に29場29点、清酒燗酒部門に24場24点、清酒純米燗酒部門に31場31点、本格焼酎部門に7場13点及びビール・発泡酒部門に21場51点の出品がありました。
審査は部門別に、酒類の品質評価に十分な経験及び能力を有するとともに、製造方法や貯蔵・熟成に関する知識を有する者12〜14名の審査員により、採点法並びに特性及び欠点の指摘によって、味、香り及び香味の調和を慎重かつ厳正に評価しました。
その結果、清酒吟醸部門10場、清酒純米吟醸部門11場、清酒燗酒部門9場、清酒純米燗酒部門12場及び本格焼酎部門2場を、優等賞受賞製造場として選定し、10月29日(火)に東京国税局にて表彰式を行いました。
また、同日、酒類製造技術及び酒質の向上に資するため、全出品酒を公開する製造技術研究会を開催しました。
各部門の出品酒における品質の総評は、以下のとおりです。
原料米は、平成29酒造年度と比べ、早生の品種は非常に硬く、溶けにくかった傾向がありましたが、晩生の品種である山田錦及び他の品種の県産酒造好適米は、溶けやすい傾向にありました。このような状況ではありましたが、製造責任者の卓越した技術により、醪の仕込み及び発酵管理を工夫した結果、軽やかで、なめらかな酒質の出品酒が多く出品されていました。酒造期の気温は例年と比べ温暖でありましたが、時々、急に冷え込んだ日もあり、醪管理に苦労したとの話も聞いております。
穏やかで上品な吟醸香と、豊かな甘みと味わいが調和した個性的で特徴のある吟醸酒が数多く出品されていました。
リンゴ系の吟醸香が豊かで個性的な香味を感じる酒質のものや、バナナ系の吟醸香が軽快で切れのよい酒質のものもあり、酵母の特性を活かしつつ原料米からの味わいを引き出した酒質で、バラエティーがありました。
軽快で香味の調和の取れた酒質で、バラエティーの差は大きくないものの、それぞれの個性を活かした食中酒としての品質が感じられる燗酒となっていました。
甘味や酸味を豊かに感じる厚みのあるボディーの酒質から軽快な香りと味わいが調和した軽やかな酒質までバラエティーに富んでいました。今後、更に熟成することで、より香味が広がる可能性が感じられるものもありました。
米、麦、甘藷、酒粕等の原料特性や蒸留方法が香味に反映され、軽快で華やかな香りのものや力強い香味の個性豊かな酒質のものといった香味の広がりが感じられると共に、近年の酒質向上の成果がうかがえました。
様々なスタイルのビールや発泡酒が出品されていました。いずれの出品酒も原料特性が感じられ、スタイルを反映した味わいを持つ良質でバラエティーに富んだビール・発泡酒となっていました。