帝国議会への請願の内、大正期から昭和戦前にも請願後に実現した制度がありました。
 大正5年(1916)から田畑の地価修正を求める多くの請願が帝国議会に出され、その後実現しました。この際、地価は土地賃貸価格をもとに決められ、これは昭和6年(1931)に成立した地租法にも受け継がれ、その際減租も実施されました。
 また、地租が地方に移譲された後の昭和24年には、臨時宅地賃貸価格修正法が公布され宅地の賃貸価格が修正されるなど賃貸価格の仕組みは継続されました。
 この他、昭和13年には、酒類販売業者の乱立や過当競争などを防止する請願を受け酒類販売業免許制度が制定されました。さらに昭和15年には、本局から遠隔地にあるため新潟県に税務監督局を設置する請願が出されており、財務局官制の時代となった昭和18年に実現しました。

通牒(田畑地価修正準備調査につき御足労依頼)

通牒
(田畑地価修正準備調査につき御足労依頼)
大正7年(1918)10月18日

 高知県香美郡西川村(現高知県香南市)では、赤岡税務署(現南国税務署)の職員が来村の上、田畑地価修正の準備調査を行いました。これは、西川村長が元大蔵省職員の地元納税者に調査時の実地指導を仰いでいるものです。

大正12年以降国税ニ関スル陳情、請願、建議要旨集録1 大正12年以降国税ニ関スル陳情、請願、建議要旨集録2

大正12年以降国税ニ関スル陳情、請願、建議要旨集録
〔昭和8年〕(1933)

 大蔵省主税局が昭和8年までに個人や各種団体などから出された国税に対する陳情、請願、建議の要旨をまとめたもの。「一般ノ部」から「取引所税ノ部」まで16項目に分けて集録されています。

第77・78・79回帝国議会 請願文書表
昭和16年(1941)〜昭和17年(1942)

 これは、第77・78・79回議会に提出された請願文書575件をまとめたものです。大蔵省所管の請願文書の中には、豪雪地方の家屋税逓減(請願者は新潟県南魚沼郡在住)、土地整理士法制定(請願者は長野県東筑摩郡在住)など国税に関わる請願も確認できます。

(昭和13年以前より酒類販売業営業証明書)
昭和13年(1938)5月1日

 昭和13年から酒類販売業は免許制度になりました。この業者は、昭和13年1月1日以前から酒類販売業をしていたので申告書を提出して承認を願い出でおり、新潟税務署長から証明書を発行しています。

除雪費控除通達
(「例規通達(所得関係)綴」より)
昭和9年(1934)1月20日

 大蔵省主税局長から雪国地方における所得(又は営業純益)にかかる多額の必要経費、除雪費など雪国地方に特殊な経費で家事に関係するものを控除する旨を伝える通達です。帝国議会では、雪害に対する建議や請願は昭和初期から見られ、切実な問題となっていました。

戦時税務協力委員委嘱状
昭和20年(1945)4月15日

 新潟財務局から出された委嘱状。この後新潟財務局は昭和20年6月1日に消滅しました。戦時税務協力委員には、戦時税務に協力するため有力な納税者が選ばれ、戦後には税務協力委員に引き継がれました。

信越・北陸地方の局の変遷
主な租税の請願とその実現