【答え】

3 演劇などの興行(業)

【解説】

明治11(1878)年の太政官布告以降、演劇など(大正期以降には活動写真なども含まれました。)を観覧に供する場合には、法定地方雑種税の一つとして興行税が課せられていました。
 しかし、興行税は、実際の収益の多寡にかかわらず、興行場の定員や観覧席の坪数といった外形標準に基づいて徴収されており、そのことが中小興行法人の経営を圧迫していると問題視されるようになります。そこで興行を営利法人の営業収益に課税する営業収益税法(大正15(1926)年公布)の対象へと移し、国税として徴収する法案が昭和8(1933)年に帝国議会に提出されます(それまで同法第7条では興行法人を課税対象外としていました)。
 もっとも同法案には、国税への移管が地方の大きな税収を奪うとする意見が多く寄せられ、同年には実現しませんでした。実際、大正11(1922)年から昭和6(1931)年にかけては、全国の税収における地方雑種税総額のうち、ほぼ半分に近い金額を興行税が占めていたとされます。
 しかし、久米正雄ら著名な作家たちや日本劇場協会、さらには商工会議所などの関係者から建議や意見書が出されていたこともあってか、昭和10(1935)年には営業収益税法が改正され、興行法人にも営業収益税が国税として課税されることになりました。

(2025年12月 研究調査員 玉木 寛輝)