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【答え】
4 装蹄師
【解説】
馬の蹄(ひづめ)や蹄鉄(ていてつ)を整備する装蹄師は、当時は蹄鉄工と呼ばれていました。 明治29(1896)年時点の登録税法第8条で課税対象とされていたのは、医師、薬剤師、獣医、蹄鉄工でした。
そもそも、日本原産の馬は小型でしたが蹄が強く、蹄鉄を打つ習慣がありませんでしたが、明治維新以降、軍馬の重要性が増すと、より大型の馬が求められるようになりました。しかし、アラビア種等の大型馬は蹄が弱く、蹄鉄の需要が高まるようになりました。
陸軍軍馬局が蹄鉄の技術者を養成するようになり、明治8(1875)年には、軍馬局蹄鉄生徒卒業の者には免状を与え、名称を蹄鉄工とすることと定めました。さらに、蹄鉄工の養成制度は整備され、明治12(1879)年には陸軍蹄鉄工生徒概則を、明治21(1888)年には陸軍蹄鉄学舎条例を制定し、本格的に蹄鉄技術者を養成するようになりました。この蹄鉄学舎を修了し、除隊した蹄鉄工は民間で蹄鉄業を営むようになりました。
一方で、明治18(1885)年に獣医免許規則が定められ、蹄鉄や剪蹄等は、獣医の業務とされたことにより、蹄鉄工が獣医免許規則違反に問われる問題が生じました。そこで、獣医業と蹄鉄業とを分離させるため、明治23(1890)年に蹄鉄工免許規則が定められ、蹄鉄工は国家資格とされたのです。この蹄鉄工免許規則では、新規に蹄鉄工になろうとする者は、手数料として1円を納付することとされていました。
明治29(1896)年に登録税法が制定される前は、蹄鉄工だけでなく、弁護士や船員、医師や薬剤師、獣医も、それぞれの法律で登録の手数料等が定められていましたが、明治29(1896)年の登録税法の制定によって、不動産や会社の登記料等と共に一括して規定されるとともに、それまでの登記料や手数料等は登録税とされました。
なお、登録税法第8条で定められた新規登録の場合の登録税額は医師20円、薬剤師12円、獣医12円に対し、蹄鉄工は5円とされました。
(2025年6月 研究調査員 今村 千文)